令和6年分の所得税確定申告もいよいよ佳境ですね。
今回は所得税の還付申告と申告義務について確認していきたいと思います。
還付申告の場合は申告義務がなくなりました!
令和3年度の税制改正で還付となる場合の確定申告義務が見直されました。
令和3年分以後は控除しきれなかった源泉徴収税額や予定納税額等があることで還付となる場合の申告義務がなくなりました。
翌年1月1日から5年間の任意のタイミングで還付申告をすることができます。
今回の令和6年分であれば令和7年(2025年)1月1日から令和11年(2029年)12月31日までが還付申告の期限になります。
改正の経緯
これまでは個人で源泉徴収税額や予定納税額が還付となる場合でも、所得税額が配当控除額を超えるときには原則、翌年3月15日までの間に確定申告書を提出する義務があったんです。
そのため還付申告者も3月15日に間に合わせるために税務署に殺到し税務署の混雑が問題になっていました。
そこに追い打ちをかけたのが新型コロナウイルスで、感染症対策の観点から税務署等の申告会場への来場者を分散させるため還付となる者の申告義務がなくなったという経緯です。
青色申告特別控除には注意
還付申告義務がなくても青色申告特別控除の適用を受ける場合には期限内申告(翌年3月15日まで)が要件になりますのでご注意ください。
この点については租税特別措置法関係通達も新設されていますので、「25の2-6 55万円又は65万円の青色申告特別控除における確定申告書の提出期限の意義」をご確認いただければと思います。
措置法第25条の2第4項第2号及び第6項に規定する「提出期限」とは、措置法第2条第1項第14号《用語の意義》に規定する確定申告期限をいうことに留意する。
(注) 措置法第2条第1項第14号に規定する確定申告期限とは、法第120条第1項《確定所得申告》(法第166条《申告、納付及び還付》において準用する場合を含む。)の規定による申告書の提出期限をいい、年の中途において死亡し、又は出国をした場合には、法第125条第1項《年の中途で死亡した場合の確定申告》又は法第127条第1項《年の中途で出国をする場合の確定申告》(これらの規定を法第166条において準用する場合を含む。)の規定による申告書の提出期限をいうのであるから、法第122条第1項《還付等を受けるための申告》の規定による申告書その他提出期限のない申告書を提出する者であっても、措置法第25条の2第3項の規定の適用を受けるためには、その年の確定申告期限までに当該申告書を提出する必要があることに留意する。
その他、還付申告でも3月15日までや、なるべく早めに提出しておいた方がいいケースについては以前にまとめた記事がありますので併せてご確認ください。
(当時の法令、制度で書かれた記事であることは予めご了承ください。)
住民税の申告が必要になるケースもある
サラリーマンで給与のみの収入であれば基本的には勤務先から市区町村に給与支払報告書が提出されているため住民税の申告をしなくても住民税の課税がもれることはありません。
ただし給与以外の副業がある場合やメインの収入が不動産所得や事業所得のフリーランスの場合は所得税の申告をしておかないと住民税の課税がされないことになってしまいます。
所得税は申告義務がなくても住民税は申告義務がある、というケースもありますのでご注意くださいね。
更正の請求期限にも注意
還付申告に付随するポイントとして更正の請求がありますよね。
当初していた確定申告に誤りがあった場合など、税金を多く納めすぎていたときに納めすぎた税金を還付するための請求です。
この更正の請求の期限は原則は法定申告期限から5年以内になります。
令和6年分の所得税であれば令和7年3月15日が申告期限なので更正の請求の期限は令和12年3月15日ですね。
今年、令和7年3月15日が期限になるのは令和元年分の確定申告になります。
ただしこれは申告義務のある方が確定申告書を提出した場合の期限です。
申告義務のない方が還付申告書を提出した場合の更正の請求期限は還付申告書の提出日から5年以内になります。
令和元年分の還付申告書を令和2年3月11日に提出していた場合の更正の請求期限は本日令和7年3月11日になりますよ!
なお、上記の通り税制改正により令和4年1月1日以後の還付申告書から申告義務のある還付申告はなくなりましたので還付申告書を提出した場合の更正の請求期限は常に提出日から5年以内になりますのでご注意ください。