ここ最近耳にすることが多くなったSHEINやTemuですが中国企業ということで消費税のインボイス対応はどうなっているか気になっている方がいらっしゃるのではないでしょうか?
今回はSHEINやTemuで購入したもののインボイス対応、消費税の仕入税額控除について解説したいと思います。
消費税の課税対象か否か
まず確認すべきはSHEINやTemuでの購入が消費税の課税対象になるか否かです。
日本の消費税法で消費税の課税対象は以下のように規定されています。
消費税法 第4条 課税の対象
国内において事業者が行つた資産の譲渡等及び特定仕入れには、この法律により、消費税を課する。
保税地域から引き取られる外国貨物には、この法律により、消費税を課する。
SHEINやTemuでの購入はどうなるでしょうか。
分解して考えてみましょう。
消費税が課税されるケースは大きく2つに分けられます。
- 国内において事業者が事業として対価を得て行う資産の譲渡等と特定仕入れ
- 保税地域から引き取られる外国貨物の引取り(輸入取引)
SHEINやTemuでの購入は2.の輸入取引に該当します。
Amazonなど日本国内に拠点があり日本の物流拠点から商品を発送していると1.に該当することになりますがSHEINやTemuは日本国内に物流拠点がなく中国からの輸入という扱いになっています。
いずれも消費税の課税対象になることには変わりありませんがこの後の流れが変わってきます。
輸入取引ではインボイスは不要
Amazonなどから仕入れた場合(輸入取引でない場合)、消費税の仕入税額控除を適用するためには原則的にはインボイス(適格請求書)が必要になります。
これが輸入取引の場合は不要になります。
ということで、SHEINやTemuで購入したものは日本の消費税のインボイス(適格請求書)が発行されないことになります。
仕入税額控除のためには輸入許可通知書が必要
輸入取引で仕入税額控除を適用するためにはインボイス(適格請求書)ではなく輸入許可通知書が必要になります。
ちなみにこれは消費税のインボイス制度開始前からの取り扱いです。
輸入許可通知書に消費税額が記載されていますので消費税申告時はその金額を仕入税額控除の計算に含めて計算することになりますね。
課税価格の合計額が1万円以下の物品は免税
さてここからが重要なポイントです。
今まで説明を見て「輸入許可通知書なんて見たことがない」と思われた人が多いのではないでしょうか?
輸入の場合、輸入代行業者が輸入していて輸入した個人や法人は輸入許可通知書を見ることが無い、というケースもありますが、SHEINやTemuでの購入は別の事情で輸入許可通知書を見ることが無いのです。
というのも、課税価格の合計額が1万円以下の物品の輸入については、関税と消費税が免税されているためです。
課税価格は、個人輸入の場合「海外小売価格×60%」、一般輸入の場合「海外小売価格+運送費+輸入保険料」で計算されます。
実態はさておきSHEINやTemuでの購入は個人輸入扱いが多いでしょうから販売価格で考えると1万円÷0.6=約16,666円までは消費税が免税になっているということです。
SHEINやTemuは激安商品が多く、1万円を超えることは稀ですよね。
なので多くの商品は消費税が免税になっています。
消費税が免税になっていれば消費税の仕入税額控除もできないですね。
16,666円を超える商品はどうなるのか?
本来は16,666円を超える商品は輸入消費税を支払う必要があります。
ただ、現状SHEINやTemuのHPやインターネット上の情報を見る限り購入者が輸入消費税を支払ったという情報は確認できませんでした。
これは輸入の過程でSHEINやTemuが負担している(=商品価格に上乗せしている)ためか、購入者が輸入消費税を支払った場合もSHEINやTemuにその旨を通知すれば輸入消費税分の返金を受けられるとの情報もあるようです。
基本的には購入者が輸入許可通知書を手に入れることはないようですので消費税の仕入税額控除はできないと考えるのが妥当でしょう。
※購入者が輸入消費税を支払った場合は、SHEINやTemuから輸入消費税分の返金を受けた場合でも、輸入許可通知書上の輸入者に購入者の名前が記載されていれば消費税の仕入税額控除を適用できる可能性があります。
今後の取り扱いに注意
諸外国でも日本と同様に少額な輸入品には関税や消費税を免除していますが先日気になる報道がありました。
EUが、SHEINやTemuなど中国オンライン小売業者の安価な製品に輸入関税を課す計画を策定しているとのことです。
英紙フィナンシャル・タイムズが2024年7月3日に、複数の関係者の話として報じました。
アメリカでも似たような議論がされているようです。
諸外国でSHEINやTemuなどからの輸入に対して何らかの対策が打たれれば日本でも同様の対策が講じられるでしょうね。
今後の動向に注意していきましょう!
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