税理士業務

ウーバー運転手からの源泉徴収、確定申告(所得税)について

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昨日のニュースでこんなものがありました。

「メキシコ、ウーバー運転手から税金を源泉徴収」

6月1日から制度がスタートする予定で付加価値税8%と3~9%の所得税が源泉徴収されるとのことです。

さて、日本ではどうでしょうか。

ウーバー運転手の所得区分

ウーバー運転手はウーバーの従業員ではありません。

ウーバーのホームページの登録要件のページにもしっかりと「Uber アプリを使って個人事業主として働くことは…」と記載されていますので雇用関係のある従業員=給与所得ではなく、個人事業主=事業所得or雑所得であることが分かります。

車等は自分で用意する、時間的制約がない(時給でない)、配達完了で報酬がもらえる、このあたりの点からも事業所得or雑所得で間違いないでしょう。

事業所得か雑所得か

これは非常に難しい問題でよく裁判にもなるポイントです。

詳細は割愛しますがウーバーで生計を立てていれば事業所得、ウーバーを副業でやっていれば雑所得でよいでしょう。

事業所得になると青色申告の65万円控除が使えるなど有利な税制が利用できます。

副業でやっている方が事業所得で65万円控除を使って確定申告していると税務署から指摘されるかもしれませんね。

源泉徴収について

給与所得であれば当然に源泉徴収されるのですが事業・雑所得であると特定のものだけ源泉徴収されることになります。

具体的には所得税法204条に規定されているものが源泉徴収の対象になりますのでそこに記載されていなければ源泉徴収不要です。

改めて確認してみましたが該当しそうなものはないですね。

運転ということでいうとレーサー(自動車も自転車も)の報酬は源泉徴収対象ですね。

あとは保険の外交員、販売員が一番近いかなと思いますがセールスというところにポイントがありますので既に販売されたものを運ぶ運転手は対象外で間違いないでしょう。

ちなみに私たち税理士などの士業の報酬はこの条文により源泉徴収対象になっていますね。

その他、芸能人、スポーツ選手などの報酬も源泉徴収対象です。

気になる方はこちら(平成31年版源泉徴収のあらまし)をご確認ください。

確定申告について

ウーバー運転手は日本では源泉徴収されないということを確認しましたが給与所得者と異なり源泉徴収⇒年末調整の流れがないということは確定申告をしないといけないということです。

1年間の収入と経費を集計して翌年3月15日までに住所地の所轄税務署に確定申告をしましょう。

(収入ー経費=所得の金額によっては確定申告不要になることもあります)

事業所得に該当する場合は業務を開始した日から2か月以内に「青色申告承認申請書」を税務署に提出しておきましょう。

65万円控除の特典のほか、赤字が出た場合の他の所得との損益通算や3年間の繰越、青色事業専従者給与(奥様に経理などをお願いして給与を払って経費にする)、10万円以上30万円未満の自転車を買った場合に購入した年の経費にする、などの特典があります。

まあ、赤字はあまり出ないですかね。ただ、いろいろ節税のやり方が増えますので青色申告を申請していろいろ考えるのも面白いですよね。

今後について

さて、本題のウーバー運転手に対する源泉徴収ですが今後の日本ではどうなるでしょうか。

これから数年内は源泉徴収無しのままだと思います。

所得税の源泉徴収は所得税をもれなく徴収するという趣旨と所得税の確定申告が年1回、3月15日期限なので税収の時期が偏ってしまうため年間を通して税収を上げるという趣旨で考えられたものと言われています。

これらの趣旨から考えると今はウーバー運転手などフリーランスの人口は決して多くありませんので源泉徴収の必要がないと思われますが今後フリーランスの人口が増加していき給与所得者を上回るようになるとウーバー運転手も源泉徴収の対象になる可能性がありますね。

アメリカの調査では、2027年にはフリーランス人口がノンフリーランスの人口を超えるという結果も出ているようで、日本でもそのころには源泉徴収の対象が拡大されているかもしれません。

 

 

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