税理士業務

中小企業の採用・定着・節税を加速させる「はぐくみ企業年金」とは?税理士が徹底解説

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はじめに

昨今、中小企業の経営者の方から「良い人材を採用したいが、大企業のような福利厚生が準備できない」「社会保険料の負担が重すぎて、手取りを増やしてあげられない」というご相談をよくいただきます。

こうした悩みを一挙に解決する可能性を秘めているのが、今注目を集めている「はぐくみ企業年金(確定給付企業年金:DB)」です。厚生労働大臣の認可を受けた信頼性の高い制度であり、多くの法人が導入を進めています。

本記事では、クラウド会計や経理効率化に強い税理士の視点から、はぐくみ企業年金の仕組みや導入メリット、デメリット、そしてなぜ今、中小企業にとって最強の福利厚生と言われているのかを詳しく解説します。


はぐくみ企業年金とは?(制度の概要)

「はぐくみ企業年金」は、正式名称を「福祉はぐくみ企業年金基金」といい、確定給付企業年金(DB)の一種です。

他の制度にはない「選択制」の柔軟性

大きな特徴は、「任意選択制」という仕組みです。従業員や役員が、毎月の給与(役員報酬)の一部を「今受け取るのか」それとも「将来のために積み立てるのか」を自身の意思で決定できます。会社側は積立を強制することなく、希望者のみが資産形成を始められるため、労使双方に無理のない導入が可能です。

  

この点は数年前から導入が増えている選択制確定拠出年金と同様ですが、はぐくみ企業年金は確定給付企業年金なので元本保証という点に強みがあります。

経営者が知っておくべき「4つの大きなメリット」

法人税の節税と社会保険料の適正化

会社が拠出する掛金は全額「福利厚生費」として損金算入が可能です。また、選択制を採用して給与の一部を積立に回した場合、その分は社会保険料の算定基礎(標準報酬月額)から外れます。これにより、会社負担分の社会保険料が軽減され、制度運営費をその削減分で賄うことも期待できます。

採用力の強化と離職防止(リテンション)

「退職金制度あり」と求人票に記載できることは、採用市場において大きな武器になります。実際に導入企業からは、「賃金面での差別化が難しい中、他社との違いを打ち出せる」との声が上がっており、人材確保が重要な業種で特に活用されています。

役員(社長)も加入できる

役員も従業員と同様に加入できます(70歳未満の厚生年金被保険者が加入可能)。月額掛金は1,000円から役員報酬の20パーセント(上限100万円)まで設定可能です。積立時は非課税、受取時には「退職所得控除」が適用されるため、効率的な役員退職金の準備手段となります。ただし、役員のみでは加入できないのでご注意ください。

元本保証と運用の安心感

先ほども記載した通り、確定給付企業年金法に基づき加入者の掛金は元本保証です。さらに、運用実績に応じた利息も付与されるため、投資リスクを嫌う従業員でも安心して参加できるのが強みです。

従業員にとってのメリット:柔軟な受け取りタイミング

  • 所得税・住民税・社会保険料の軽減:掛金分には税金や保険料がかからないため、実質的な手取りアップになります。
  • 60歳を待たずに受け取れる:iDeCoや企業型DCとは異なり、退職時だけでなく「休職時」や「育児・介護休業時」にも給付金を受け取ることが可能です。
  • 掛金の柔軟性:1,000円単位で設定でき、年2回金額を変更できるため、個々のライフスタイルに合わせた運用ができます。

企業年金制度の比較表

比較項目 はぐくみ基金(DB) 企業型DC iDeCoプラス 中退共
役員の加入 可能 可能 可能 不可
社会保険料削減 あり あり なし なし
受取の柔軟性 退職・休職時など 原則60歳以降 原則60歳以降 退職時
資産の安全性 基金が運用(元本保証) 個人(自己責任) 個人(自己責任) 機構が運用

導入にあたっての注意点(デメリット)

  • 将来の年金額への影響:社会保険料を削減することで、将来受け取る厚生年金の額がわずかに減少する可能性があります。積立によるメリットとのバランスを考慮する必要があります。
  • 制度運営の手間:規約に基づく運営や、毎月の加入・脱退手続きなどの事務が発生します。これらはクラウドツールを活用することで効率化が可能です。
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  • 会社補填の可能性:運用がマイナスになることにより基金に積立不足が生じた場合は、会社(事業主)が補てんすることになる可能性があります。

導入・運用にかかる手数料とコストの考え方

はぐくみ企業年金を導入する際、事業主様が負担するコストには「導入時の初期費用」と「毎月の運営管理費」の2種類があります。

導入時および月額の手数料構成

  • 導入時費用(初期費用): 制度を構築するためのコンサルティングや規約作成、厚生労働省への届け出等にかかる費用です。最低30万円〜(企業規模、厚生年金被保険者数による)となるようです。
  • 月額運営管理費: 加入者1名あたりにかかる事務管理手数料です。毎月1名あたり410円〜490円(加入者数により変動)となるようです。

※具体的な金額は、企業の規模(加入人数)や設計プランによって変動するため、詳細な見積もりが必要です。

「実質コスト0円」といわれる理由

税理士として注目すべきは、この事務手数料と「社会保険料の削減効果」のバランスです。

  • 社会保険料の節減: 選択制(給与減額方式)を活用した場合、会社負担分の社会保険料が減少します。
  • コストの相殺: はぐくみ基金は平均加入率が高いため、多くのケースで「社会保険料の節減分 > 制度運営費」という構造になります。

このため、会社側は実質的に新たな持ち出しをすることなく、福利厚生を充実させることが可能です。

手数料を「投資」として捉える視点

初期費用やランニングコストは発生しますが、それによって「採用コストの抑制」や「離職率の低下」が見込めるのであれば、それは単なる経費ではなく、将来への投資となります。実際、導入後に離職率が下がったことで、結果的に求人広告費や採用経費が大幅に削減できたという事例も報告されています。

導入の流れと税理士の役割

当事務所(シマダ・クラウドパートナー)では、単なる制度紹介にとどまらず、導入から運用までをトータルでサポートしています。

  1. 効果シミュレーション:貴社の状況に合わせて、社会保険料の削減効果と運営コストを詳細に比較・分析します。
  2. クラウド会計連携:マネーフォワードやfreeeなどのソフトを用いた効率的な給与計算・会計入力体制の構築を支援します。
  3. 役員報酬の最適化:経営者個人の資産形成と、法人税・所得税のバランスを考えた最適なプランをご提案します。

まとめ:はぐくみ企業年金は「攻め」の福利厚生

「はぐくみ企業年金」は、単なる節税策ではなく、会社を守り、従業員を大切にする経営者の姿勢を形にするための強力なツールです。

  • 社会保険料の負担を適正化したい
  • 採用力を高めて優秀な人材を確保したい
  • 社長自身の退職金を賢く準備したい

このような悩みをお持ちの方は、ぜひ一度シマダ・クラウドパートナーへご相談ください。最新の資料に基づいた具体的なシミュレーションを、実務レベルで一緒に検討していきましょう。

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