税理士業務

決算期(事業年度)を変更して節税しよう。

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決算期の変更は意外と簡単にできます。

会社の社長、特にスタートアップの方は知らない方も結構多いですよね。

設立から1年後の月末が決算期になり以後変えられないと思っておられる方がいらっしゃいます。

でも何故決算期を変えるのか?

1.決算期を変える理由

1.グループ会社と決算期を合わせる

M&Aなどで外部から会社を買ってきて子会社化したりすると連結決算等の決算事務効率化のため決算期を合わせることが一般的ですかね。

2.3月決算、12月決算にする

国や地方公共団体の会計年度が4月から3月なので日本全体として4月から新年度という空気ですよね。

実際企業も3月決算が1番多いです。上場企業では約7割、中小企業を合わせても全体の約2割は3月決算のようです。

欧米の企業は12月決算が多く、中国では法令で12月決算と定められているようですので外資系企業と関係のある企業は12月決算が多いイメージです。

そこに合わせた方がいいという理由で変更される会社も多いですね。

個人的にはあまり合わせる意味はないかと。

3.繁忙期を避ける

小売業が2月決算が多いのはこの理由によるところが大きいようですね。

「ニッパチ(2月と8月)」は暇だと。

決算月は小売業は棚卸が大変なので年末や年度末を避けた2月にしているようですね。

決算月は棚卸以外にもいろいろと作業がありますから。

通常の業務と決算の業務が重なって毎年大変だと思われている方は決算期変更を検討する価値ありです。

ではどうやって決算期を変えるのか

2.決算期変更の手続き

1.臨時株主総会(定時でももちろん可)を開いて決算期の変更を決議(特別決議)

中小企業は所有と経営が一致していることがほとんどですのでペーパーのみの開催ですんなりですね。

2.定款の変更

決算期は謄本には記載されませんので定款の変更のみでOKです。

登記がいらないので登録免許税などのコストがかからないですね。

ちなみに、電子定款、紙定款にかかわらず、設立時の定款その物は変更しません。

設立時の定款に株主総会で定款変更した内容を添付しておくということになります。

ただ、実務上は次の3.の手続きに添付するために定款を書き換えましょう。

決算期変更程度であればご自身でも簡単にできるはずですよ。

ちなみに定款の認証は不要、製本・割印をして保管です。

3.税務署・都道府県税事務所・市区町村への届出

1.の議事録、2.の定款を添付して異動届出書を提出しましょう。

具体的な期限は無く「速やかに」なので変更後の決算期の申告期限までに提出できればよいですね。

3.決算期変更で節税できるポイント(メリット)

1.役員報酬を支給開始

スタートアップ企業だと「1期目は役員報酬ゼロで」って思われている社長も多いと思いますが嬉しい誤算で1期目から大きい利益が上がってしまうことがあります。

そんな時決算期の終りの方で急に役員報酬を支給することってできないんですよね。(正確には支給できますが費用になりません)

その場合、決算期を変更して第2期目をスタートさせると役員報酬を支給して費用にできます。

別途消費税の2年免税期間との関係には注意が必要ですので総合的に検討する必要はありますね。

2.利益を先送り

今月が8月として、9月に大きな売上(利益)が見込まれている。決算期は9月。10月に大きな費用(損失)が見込まれている場合は今のままだと01年9月期は利益計上→納税ありで02年9月期は損失計上→納税なしになりますが8月決算に変更すれば01年8月期は今まで通り通常の決算、02年8月期は大きな売上と大きな費用がぶつかって大きな納税は回避、なんてこともできます。

3.消費税の制度の適用関係

消費税は決算期(事業年度)とは別に課税期間という考え方があり「課税期間の短縮」という制度を使って簡易課税を早く適用したりする手法もありますが消費税の「基準期間」は決算期(事業年度)の考え方なので「課税期間の短縮」だけでは対応できない場面があります。

そんな時に事業年度の短縮(決算期変更)が活躍することがあるんです。

こちらはかなり複雑な話になりますのでまた別の機会にじっくりご説明いたします。

⇒別の機会はこちら

4.決算期変更のデメリット

1.手間がかかる

2.の手続きの手間がかかりますね。

2.費用がかかる

専門家に手続きを依頼すれば報酬も発生するかもしれません。(私だったら月次顧問料の範囲内の業務かなと思いますが)

3.決算が前倒しになる

通常1年のサイクルが決算期変更した期は1年未満になりますので決算が前倒しになりますね。

その分、利益が出ていれば納税が前倒しになりますし決算の手間、税理士への決算報酬も1年サイクルより早く到来してしまいます。

4.経営分析がしにくくなる

1年未満の期が出来てしまいますので、翌期の前期比較や数年間の比較・推移分析で1年換算したりと一手間必要になってしまいます。

ただこの辺りは税理士にお任せすれば問題ないですかね。

以上、ご参考になれば幸いです。

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