今年も税制改正大綱が発表されましたね。
早速ですが個人的に気になったものをざっくり解説いたします!
年収の壁は178万円に
まずは基礎控除について、合計所得金額が2,350万円以下の場合、現行の58万円から62万円に引き上げられます。
そして、基礎控除の加算について、合計所得金額が489万円以下である場合、現行の37万円から42 万円に引き上げられます。
さらに、給与所得控除について、65万円の最低保障額が69万円に引き上げられます。
さらにさらに、給与所得控除の最低保障額を5万円引き上げる特例が令和8年及び令和9年には措置されるため、上記を合計して年収の壁が178万円になるという仕組みです。
めちゃくちゃ複雑ですね。
住宅ローン控除の延長と拡充
住宅ローン控除について、適用期限を令和12年12月31日まで5年延長するとともに、次のようになります。
近年の新築マンションの高騰をうけて、中古物件も対象になるように戻りましたね。
そして上記いずれにも該当しない物件も以下のようなかたちで対象になっております。
40歳未満で配偶者がいる人、40歳以上で40歳未満の配偶者がいる人、19歳未満の扶養親族がいる人、いわゆる若者・子育て世帯は借入限度額が以下のように優遇されます。
NISAつみたて枠18歳未満解禁
令和9年以降、NISAのつみたて枠が未成年も利用できるようになります。
なお成長投資枠の利用は不可です。
年間投資枠は60万円(成人のつみたて投資枠は年120万円)です。
非課税保有限度額は600万円(成人のNISAの限度額は1800万円)になります。
子が12歳以降で同意を得た場合、親権者が売却、払い出しできることになっています。
子が18歳に達したら年間投資枠等は通常のNISAに移行します。
暗号資産(仮想通貨)の売却益が分離課税に
金融商品取引法等の改正を前提に暗号資産(仮想通貨)の売却益が分離課税になります。
20%(所得税15%、個人住民税5%)の税率です。
現物取引、デリバティブ取引、ETF(上場投資信託)から生じる所得が対象です。
ただ「暗号資産取引業(仮称)」に対する「金融商品取引業者登録簿に登録されている暗号資産(特定暗号資産)」の売却が対象になるようです。
暗号資産取引業(仮称)がどのような条件になるのか、また特定暗号資産がどの銘柄になるのかなど現段階で詳細は不明です。
また特定暗号資産の現物取引で生じた損失のうち控除しきれない金額は、一定の要件の下で翌年以後3年の繰越控除が認められるようになります。
特定暗号資産デリバティブ取引については、先物取引の課税特例および先物取引の差金等決済に係る損失の繰越控除の対象に加えられるようです。
これによって損失を翌年以後3年間繰り越して、同じ先物取引の利益から差し引けるようになります。
適用開始時期については、金融商品取引法の改正法の施行の日の属する年の翌年の1月1日となっています。
なお特定暗号資産の対象外となる総合課税側の譲渡所得として扱われる暗号資産については、「特別控除」、「5年超保有の1/2課税」、「損益通算」の対象外とし、特定暗号資産と区別したことが明記されています。
1億円の壁の是正
超富裕層に対する追加課税について、年間所得の基準を現行の30億円超から6億円超に引き下げ、さらに総所得からの特別控除額を現行の3億3,000万円から1億6,500万円に縮小、適用税率が現行の22.5%から30%に引き上げられます。
令和7年から導入された本制度については現在200人程度とされる追加課税の対象者を令和9年からの上記改正で2000人程度に広げる見込みとのことです。
青色申告特別控除
55万円の青色申告特別控除について、その年分の所得税の確定申告書、 貸借対照表及び損益計算書等の提出を、その提出期限までにe-Taxを使用して行うことを適用要件に加えた上で、控除額が65万円に引き上げられます。
65万円の青色申告特別控除については、対象者を上記の見直し後の要件を満たす者であって、その年分の事業に係る仕訳帳及び総勘定元帳につき、電子帳簿保存法に従った保存等を行っていること(次に掲 げる場合のいずれかに該当する場合に限る。)等の要件を満たすものとした上で、控除額が75 万円に引き上げられます。
- 仕訳帳及び総勘定元帳について、国税の納税義務の適正な履行に資するものとして一定の要件を満たす電磁的記録の保存等を行っている場合
- 特定電子計算機処理システムを使用するとともに、電子取引の取引情報に係る電磁的記録(特定電磁的記録に限る。)のうちその保存が当該特定電子計算機処理システムを使用して国税の納税義務の適正な履行に資する ものとして一定の要件を満たすことができるものは当該要件に従って保存を行っている場合
10 万円の青色申告特別控除の対象者から、その年において不動産所得又は事業所得を生ずべき事業を営む者で、これらの所得に係る取引を簡易な簿記の方法により記録しているもののうち、次に掲げる場合の区分に応じそれぞれ次に定める者を除外する。
- 不動産所得者 ⇒その年の前々年分の不動産所得に係る収入金額が1,000 万円を超えるもの
- 事業所得者 ⇒その年の前々年分の事業所得に係る収入金額が1,000 万円を超えるもの
上記の改正は、令和9年分以後の所得税について適用になります。
食事、夜食代の上限
食事支給に係る非課税限度額が月額7,500円(現行:月額3,500円)に引き上げられます。
なお、混乱しがちですが食事支給とは食事代の現金支給ではなく食事の現物支給なのでご注意ください。
改めて考え方を確認しておきましょう。
役員従業員に支給する食事は、次の2つの要件をどちらも満たしていれば、給与として課税されません。
(1)役員や従業員が食事の価額の半分以上を負担していること。
(2)次の金額が1か月当たり税抜3,500円(ここが7,500円になります)(10円未満切捨)以下であること。
(食事の価額)-(役員や使用人が負担している金額)
この要件を満たしていなければ、食事の価額から役員や使用人の負担している金額を控除した残額が給与として課税されます。
≪食事の価額≫
1 弁当などを購入して支給している場合には、業者に支払う購入金額
2 社員食堂などで会社が作った食事を支給している場合には、食事の材料費や調味料など食事を作るために直接かかった費用の合計額
※ 食事を支給するのではなく、現金で食事代の補助をする場合には、補助をする全額が給与として課税されます。
なお、残業または宿日直を行うときに支給する食事は、無料で支給しても給与として課税しなくてもよいことになっています。
また、深夜勤務に伴う夜食の現物支給に代えて支給する金銭は非課税となりますが、1回の支給額について、650円以下(現行:300円以下)に引上げられることになりました。
ふるさと納税の制限
ふるさと納税に新たに控除額の上限193万円が設けられます。
独身または夫婦共働きで年収1億円の場合、所得税も含めた寄付の上限額は438万円となります。
このほか、自治体が受け取る寄付金のうち、募集にかける費用の割合が、現在の最大5割から最大4割に引き下げられます。
この改正は令和10年度分以後の住民税に適用されるので令和9年中のふるさと納税から適用されることになります。
貸付用不動産の評価方法
被相続人等が課税時期前5年以内に対価を伴う取引により取得又は新築をした一定の貸付用不動産について、課税時期における通常の取引価額に相当する金額により評価することになります。
ただし、課税上の弊害がない限り、貸付用不動産に係る取得価額を基に地価の変動等を考慮して計算した価額の80%に相当する金額により評価できることにもなっています。
上記は令和9年1月1日以後に相続等で取得する財産の評価に適用されます。
なお当該改正を通達に定める日までに、被相続人等がその所有する土地(同日の5年前から所有しているものに限る)に新築をした家屋(同日において建築中のものを含む)には適用しないことになっています。
中小企業の少額減価償却資産の金額は40万円未満に
一時の損金に出来る中小企業の少額減価償却資産の金額基準が1個・1組あたり現行の30万円未満から40万円未満に引き上げられます。
いいPCを買うと30万円を少し超えるケースがあったのでうれしい改正ですね。
一方で対象となる法人から実質的に中小企業といえないような常時使用する従業員の数が400人を超える法人が除外になります。
なお、年度総額300万円の基準は改正が無さそうです。
賃上げ促進税制の一部廃止
資本金1億円超の大法人が適用できる全法人向けの措置は、適用期限を待たずして令和8年3月31日をもって廃止となります。
資本金1億円超で常時使用する従業員の数が2,000人以下である中堅企業が適用できる措置は、適用期限(令和9年3月31日)の到来をもって廃止となります。
そして令和8年4月1日から令和9年3月31日までの間に開始する事業年度については次の見直しが行われます。
- 原則の税額控除率 (10%)が適用できる場合を、継続雇用者給与等支給額の継続雇用者比較給与等支給額に対する増加割合が4%以上(現行:3%以上)である場合とする。
- 継続雇用者給与等支給額の継続雇用者比較給与等支給額に対する増加割合が4%以上である場合に税額控除率に15%を加算する措置を、その増加割合が5%以上である場合に税額控除率に5% (その増加割合が6%以上である場合には、15%)を加算する措置とする。
- 教育訓練費に係る上乗せ措置は、廃止する。
中小企業向けの措置については、基本は現行制度を維持したまま教育訓練費に係る上乗せ措置のみが廃止になります。
グループ間取引の書類保存
企業グループ内の法人との間で特定の取引(無形資産の譲受け・借受け、経営管理・指導、シェアードコスト取引等の役務の提供その他これらに類する取引)を行った場合に、支払を行う法人の法人税の課税所得の計算上保存が義務付けられている書類等にその取引に関する資産又は役務の提供の明細、その取引における支払金額の計算の明細及びその取引に係る支払金額を算定するために必要な事項の記載等がないときは、これらの事項を明らかにする書類等を取得・作成し、保存を義務付ける措置が講じられました。
グループ間でいわゆるお手盛りの金額決定は許しませんよ、ということですね。
なお、特定の取引とは以下のようなものになります。
①その関連者がその内国法人に対して行う次の資産(以下「工業所有権等」という。)の譲渡又は貸付け(工業所有権等に係る権利の設定等その関連者がその内国法人に工業所有権等を使用させる行為を含む。)
イ 工業所有権その他の技術に関する権利、 特別の技術による生産方式又はこれらに準ずるもの
ロ 著作権(出版権及び著作隣接権その他これに準ずるものを含む。)
ハ プログラムの著作物
②その関連者がその内国法人に対して行う役務の提供のうち次のもの
イ 次のいずれかの事業活動で、 その内国法人とその関連者との契約又は協定に基づきその関連者が行うもの
A.その関連者が有する産業、商業又は学術に関する知識経験等その関連者が有する経営資源を活用してわれる研究開発、 広告宣伝等の事業活動
B.その関連者が有する専用資産(専らその内国法人及び関連者の事業の用に供することを目的とする資産をいう。)をその内国法人に使用させる行為並びにその専用資産の維持及び管理
ロ その関連者がその内国法人に対して行う経営の管理又は指導、情報の提供等の役務の提供でその関連者が有する産業、 商業又は学術に関する知識経験に基づき行うもの
ハ 上記イ及びロの役務の提供に類するもの
少額輸入品の免税制度(デミニミスルール)を見直し
Shein、Temu、Qoo10などの越境ECサイトを通じて購入する1万円以下の輸入品について、現在免除されている消費税が課税対象となります。
納税義務者はECサイト事業者(プラットフォーム側)となり、納税手続きを代行させる「プラットフォーム課税」が導入されます。
消費者、購入側企業への影響としては当面は購入価格が1割程度上昇する可能性がありますが、具体的な影響は今後の制度設計次第です。
インボイス制度の経過措置の見直し
インボイス制度の経過措置で令和8年9月末までを期限とする2割特例の見直しがあります。
具体的には、個人事業者である適格請求書発行事業者の令和9年及び令和10年に含まれる各課税期間(免税事業者が適格請求書発行事業者となったこと又は課税事業者選択届出書を提出したことにより事業者免税点制度の適用を受けられないこととなる課税期間に限る)については、2割特例が3割特例になります。
また、同措置の適用を受けた適格請求書発行事業者が、その適用を受けた課税期間の翌課税期間に係る確定申告期限までに、その翌課税期間について簡易課税制度の適用を受ける旨の届出書を納税地の所轄税務署長に提出したときは、その翌課税期間から簡易課税制度の適用が認められます。
適格請求書発行事業者以外の者からの課税仕入れに係る経過措置(いわゆる8割控除)についても、控除可能割合が以下のように見直されます。
ただし、一の適格請求書発行事業者以外の者からの課税仕入れの額の合計額がその年又はその事業年度で1億円(現行:10億円)を超える場合には、その超えた部分の課税仕入れについて、同措置の適用は認められないことになります。
上記は令和8年10月1日以後に開始する課税期間から適用されます。
防衛特別所得税 (仮称)の創設
防衛特別所得税額はその年分の基準所得税額に1%の税率を乗じて計算した金額となります。
防衛特別所得税の課税期間は令和9年以後の当分の間となります。
一方で、復興特別所得税の改正があり、復興特別所得税の税率が1.1% (現行 : 2.1%) に引き下げられます。
そして復興特別所得税の課税期間が令和29年まで (現行令和19年まで)の間となります。
結果としては、令和19年で終了するはずだった追加の2.1%の課税が防衛特別所得税に置き換わって令和29年まで続くということですね。
令和30年以降は現在の改正のままいけば1%の防衛特別所得税のみ残るということですね。
上記の改正は、令和9年分以後の所得税等について適用されます。
償却資産税の免税点の見直し
償却資産に係る免税点が180万円(現行:150万円)に引き上げられます。
令和9年度以後の年度分の固定資産税に適用されますので令和8年中の取得分から対象になりますね。










