税理士業務

1人の株主兼社長の会社に新たな株主を迎える際の注意点(メリット・デメリット)

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会社を設立するにあたっては平成2年の商法改正により発起人の最低人数規制が廃止され設立当初から株主が1人であることが認められるようになっています。

昭和の時代に設立された会社を見ると名義株といって名義だけ貸してあげた株主の方が多くいたりするのを見かけます。

しかし、現在は株主1人での設立が認められていますのでほとんどの会社が1人の株主で設立されていますね。

会社が大きくなっていくにつれて従業員も増え、どこかのタイミングで「幹部社員を株主に」という検討をするケースがあると思います。

今回はそのようなケースにおける注意点として会社、現在の株主(兼社長)、新たに株主になる方、3つの立場でメリット・デメリットをまとめてみました。

会社

株主を増やすことのメリット

資金調達が出来る

資金調達の手段として新たな株主からの出資を受け入れれば受け入れたお金は借入とは違い返済の必要がない会社の資本となります。

なお、株主を増やす手法として新たな株主が現在の株主から株を購入した場合は会社にそのお金は入りませんのでこのメリットは発生しません。

対外的な信用度が増す

株主が複数名いることで社長兼株主の独断で経営している会社ではない、株主の目という牽制機能があり社長兼株主が自身の利益だけを追求する行為や不正がしづらくなり、そのような会社であるということで対外的な信用度が増すことにつながります。

株主になった従業員のやる気がアップする

従業員を株主にした場合、会社が儲かることで配当収入が期待出来たりまたはM&Aによる株式売却や株式上場により市場で売却することで大きい利益を得られる可能性がありますので、株主になった従業員が会社の業績を向上させるためにより積極的に仕事を行うようになることが考えられます。

株主を増やすことのデメリット

自由な経営が出来なくなる可能性がある

いわゆる物言う株主が登場することになれば今まで社長兼株主の思い通りにできていた経営が自由に出来なくなる可能性があります。

株主の管理の手間が増える

社長兼株主お一人の時は株主名簿を作成されていないケースも多いかと思います。

しかし、1人2人と株主が増えていくと株主名簿を作成して管理していくことが必要になります。

株主総会の開催

社長兼株主お一人の時は株主総会は開催したことにして議事録のみ作成するケースがほとんどだと思います。

しかし、1人2人と株主が増えていくと株主総会開催の通知をして参加の可否を確認し実際に開催する必要が生じますね。

まあ、身内数名であれば会社の会議室に集まったり飲食店で開催したりと気軽にやることも多く、実際には開催されないケースも多いと思いますが。

ただ中小企業でも外部の会場を借りて厳密な形で株主総会を開催している会社もあり、いずれにしてもそのあたりの手間が増えることにはなりますね。

現在の株主

新たに株主が増えることのメリット

従業員株主のやる気アップにより会社の業績がアップする

新たな株主が従業員株主であればやる気アップにより会社の業績がアップする可能性があります。

会社の業績がアップすれば配当増加の可能性や株式を売却する際の売却価格が上昇することになりますね。

社長兼株主の場合、従業員株主のやる気アップによる会社の業績アップが役員報酬の増額につながることも考えられます。

新たに株主が増えることのデメリット

会社に対する意見が通らなくなる可能性がある

現在どれだけの議決権を保有しているか、新たな株主が増えることで自分の議決権割合がどれくらいまで下がるのかにもよりますが、株主総会決議で自分の思い通りの決議が出来ない可能性があります。

株主総会で会社の運営について決議する場合、通常(普通決議では)議決権の過半数の賛成が必要です。

また、定款の変更や組織変更など重要な事項について決議する場合は、議決権の3分の2の賛成が必要になります。

通常の会社運営についての決定権を握れるようにするには最低でも51%保有しておくことが必要です。

特別決議では議決権の3分の2の賛成が必要ですので、できれば3分の2を超える割合(67%以上)の株式を保有しておくとより安心ですね。

新たに株主になる人

新たに株主になることのメリット

収入アップが期待できる

会社が配当を出せば収入になりますね。

また会社の価値が上がった際に売却して大きい利益を得ることも期待できます。

会社の運営に意見することができる

株主総会などで株主として会社の運営、経営に意見することができます。

いわゆる物言う株主として意見し、会社の業績をアップさせ結果的に配当や売却益などで自分が利益を得る可能性を高めることが出来ますね。

新たに株主になることのデメリット

収入を得たら確定申告が必要

未上場の会社から配当を受け取った場合、現在20.42%の源泉徴収がされますがその後、翌年3月15日までに確定申告をする必要があります。

課税は給与所得など他の所得と合算して累進税率による総合課税になります。

配当以外の収入が多い方は最高税率45%になる可能性がありますね。

ただし確定申告が不要になる場合もあります。

以下、国税庁ホームページからの引用です。

一回に支払を受けるべき配当等の金額が、次により計算した金額以下である場合には、確定申告を要しません。
10万円 × 配当計算期間の月数(注) ÷ 12

(注) 配当計算期間が1年を超える場合には、12月として計算します。また、配当計算期間に1月に満たない端数がある場合には、1月として計算します。

未上場の中小企業の場合、配当が出るのは年に1回が通常ですので10万円を超えなければ確定申告の必要はありませんね。

一方で株式を売却した場合は源泉徴収はされませんので必ず確定申告が必要になります。

詳細な計算は省略しますがこちらは他の所得と合算の総合課税ではなく、他の所得と分離しての課税になります。

現在の税率は住民税と併せて20.315%です。

株の価値が上がったときの相続税の支払い

株式を保有されたままお亡くなりになられた場合、その株式は相続税の課税対象になります。

株式の取得時点より大きく価値が上がっている場合、その株式を相続した相続人の方が多額の相続税を支払う必要が生じる可能性があります。

他の財産との合算で評価額が6億円を超えると最高税率55%になってしまいます。

さらに問題なのは未上場の株式の場合、発行会社が買い取ってくれればよいのですがそれが出来ない場合、売却することが困難という点です。

相続税は現金で一括納付が原則ですので相続税の支払いを回避するために相続放棄し、一緒に相続するはずだった自宅を手放すことになる可能性があります。

この辺りは話すと長くなりますのでこの程度にしておきますがそのようになる可能性があるということは頭に入れておきたいところです。

株主総会の通知など会社からの連絡がくる

だいぶスケールの小さいデメリットになりますが、株主総会の通知が来て参加の可否を尋ねられたり、株主総会の決議内容の通知が来たりすることが煩わしいと思われる方もいらっしゃるかもしれません。

まとめ

社長兼株主以外の人が新たに株主になる際にはメリット・デメリットをよく確認し慎重に検討しましょう。

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