令和5年分から、国税庁ホームページの「確定申告書等作成コーナー」でマイナンバーカードを利用して作成する所得税の確定申告について、お勤め先の「給与所得の源泉徴収票」の内容が自動入力できることになりました。
諸外国では既に導入されていたようですが日本でもついに導入されます。
今までは手元の源泉徴収票を見ながら手打ちしていましたが自動で入力されるので便利ですよね。
今回はこの源泉徴収票のマイナポータル連携について見ていきたいと思います。
マイナポータル連携とは
マイナポータル連携とは、所得税確定申告や年末調整等について、マイナポータル経由で控除証明書等のデータを一括取得して各種申告書の該当項目へ自動入力する機能です。
所得税確定申告の場合は、国税庁ホームページの「確定申告書等作成コーナー」で利用することができます。
なお、マイナンバーカードを利用してe-Taxで確定申告書を提出する場合に限りますのでご注意くださいね。
生命保険・地震保険料控除証明書や証券会社の特定口座年間取引報告書、ふるさと納税の寄附金証明書などは昨年(令和4年分)すでにマイナポータル連携での自動入力に対応していましたが、令和5年分から給与所得の源泉徴収票もマイナポータル連携が可能になります。
いつから利用できるのか
令和6年2月から、令和5年分の給与所得の源泉徴収票情報をマイナポータル連携で利用できるようになります。
事前準備としてマイナポータルとe-Tax の連携設定のほか、e-Tax のマイページで情報の取得を希望する旨の登録を行うなどの対応が必要になりますのでそれぞれの設定をご確認ください。
勤務先の対応の確認も必要
実はこれが一番ハードルが高い可能性があります。
源泉徴収票のマイナポータル連携を利用するためには、お勤め先(給与等の支払者)が「給与所得の源泉徴収票」をe-Tax 又は認定クラウド等により税務署に提出している必要があります。
提出期限は翌年の1月31日となっているため現時点では確認ができませんが、人事部・経理部などにe-Taxで源泉徴収票を提出予定か確認してみてください。
会社としてe-Taxでの源泉徴収票の提出に対応している場合も実はもう一つハードルがあります。
税務署に提出する「給与所得の源泉徴収票」には、「年間の給与等の支払金額が500 万円を超えるもの」などの提出基準があるため年収が500万円以下の場合は会社が税務署に「給与所得の源泉徴収票」を提出しない可能性が高いです。
令和5年分から給与所得の源泉徴収票のマイナポータル連携が始まることを受けて「年間の給与等の支払金額が500 万円を超えないもの」についても任意で提出することができることになります。
ただ、会社(人事部・経理部)としてはなるべく税務署への報告資料は少なくしたいと考えますので多くの会社では任意提出はしないのではないかと思われます。
年収が500万円以下で給与所得の源泉徴収票のマイナポータル連携を希望される方は会社に任意提出してもらうようにお願いしてみてください。
給与支払報告書をeLTAXで提出している場合は?
市区町村に提出する給与支払報告書には金額基準がないため(中途退職者に対する30 万円以下の支払を除く)全ての従業員について提出が必要になりますよね。
この給与支払報告書をeLTAXで提出していればマイナポータル連携がされるのでは?と疑問に思われる方がいるかもしれません。
こちらについては現状では対応していませんのでマイナポータル連携はされません。
(電子的提出一元化機能を利用して給与所得の源泉徴収票と給与支払報告書のデータを同時に作成し、eLTAXにて所轄税務署と各市区町村にそれぞれ提出している場合はマイナポータル連携の対象になります)
ただし、令和9年2月からは給与支払報告書のみをeLTAXで提出した場合もマイナポータル連携による自動入力の対象とすることが予定されています。
ちなみにこれは令和5年度税制改正において、「給与等の支払者が給与所得の源泉徴収票に記載すべき一定の事項が記載された給与支払報告書を市区町村へ提出した場合には、税務署へ給与所得の源泉徴収票を提出したものとみなす」などの改正がされたことに伴い、eLTAXにより市区町村へ提出された給与支払報告書の情報が市区町村から国(税務署)へ提供されることになるためです。
「給与所得の源泉徴収票」のどの情報が自動入力の対象となるのか?
「給与所得の源泉徴収票」のうち、住所、氏名、マイナンバーや控除対象配偶者、控除対象扶養親族及び給与支払者のマイナンバー又は法人番号などを除く情報が連携の対象となり、連携された情報のうち、確定申告に必要な項目が自動入力の対象となります。
連携対象となる情報のイメージは以下の通りです。
(国税庁Q&A資料より引用)
人事部・経理部など会社側の対応注意点
今までお伝えした内容と重複するものもありますが会社側として源泉徴収票のマイナポータル連携をする際の注意点は以下の通りです。
- 源泉徴収票は法定調書合計表と同時にe-Taxにて提出する
- もしくは電子的提出一元化機能を利用して源泉徴収票を(給与支払報告書と併せて)eLTAXにて提出する
- 法定調書合計表のみe-Taxで提出して源泉徴収票を書面で提出した場合はマイナポータル連携対象外になる
- マイナンバーは必ず入力する必要がある
- 氏名、住所、生年月日の情報が誤っていると連携できない可能性がる
- 法定調書の提出期限(1月31日)までに提出されたものがマイナポータル連携される
- 法定調書として提出義務がないもの(任意提出のもの)でもe-Tax等で提出すればマイナポータル連携される
- 法定調書合計表の「Ⓑ源泉徴収票を提出するもの」欄には、500万円以下などで任意で提出したものも含めて記載する
- マイナポータル連携されるものでも従業員の方への給与所得の源泉徴収票の交付は必要
まとめ
いよいよ来年行う令和5年分の確定申告から源泉徴収票の自動入力が可能になります。
既に始まっていた生命保険・地震保険料控除証明書や証券会社の特定口座年間取引報告書、ふるさと納税の寄附金証明書では対応する会社が少なく結果的にご自身の証明書は手入力になってしまった方も多かったのではないでしょうか?
給与所得の源泉徴収票でも同様の事態が予想されますがお勤め先のご対応をご確認いただき、対応されているようであれば是非挑戦してみてください!