今日はかなりな隙間論点ですね。
私のクライアントの実例で自分への備忘録も兼ねての投稿です。
この隙間論点を解説しているブログ・書籍等が無かったもので。
前提は以下の通りです。
・ 連結親法人は某東証一部上場会社(大法人です)
・ 親法人による100%金銭出資により設立
・ 資本金9,500万円
では早速必要な届出書を列挙しましょう
1.法人設立届出書(国税)
これは基本ですね。どんな法人でも提出が必要です。
設立登記の日以後2か月以内の提出が必要です。
実務的には遅れてもまあ問題ないですね。
国税庁のHPには以下の添付書類が記載されています。
- 定款、寄付行為、規則又は規約の写し 1部(資本金1億円以上の内国普通法人は2部)
- 株主又は合名会社、合資会社若しくは合同会社の社員、その他法人の出資者の名簿 1部(資本金1億円以上の内国普通法人は2部)
- 設立趣意書 1部(資本金1億円以上の内国普通法人は2部)
- 設立時における貸借対照表 1部(資本金1億円以上の内国普通法人は2部)
- 合併により法人を設立した場合における合併契約書の写し 1部(資本金1億円以上の内国普通法人は2部)
- 分割により法人を設立した場合における分割計画書の写し 1部(資本金1億円以上の内国普通法人は2部)
今回は連結子法人で株主は連結親法人のみであることを別の届出書に記載するので株主名簿は省略しました。
結果、定款と設立時貸借対照表のみ添付です。
ちなみに謄本(登記事項証明書)は平成29年度税制改正において、手続の簡素化が図られることとなりましたので、平成29年4月1日以後、添付が不要となりました。
あと、通常法人設立届出書とセットで提出するのを忘れないようにしないといけない「青色申告承認申請書」は設立初年度から連結申告を行う連結子法人の場合提出不要です。
連結納税に青色申告という概念がないためです。
連結納税自体に青色申告と同様の厳しい要件が課されているためみたいですね。
注意点としては、連結納税から離脱した日の前日の属する事業年度について、その事業年度の終了の日の翌日から2月を経過する日の前日までに青色申告の承認申請書を提出しないと離脱後の申告で青色申告ができないということになります。
2.完全支配関係を有することとなった旨等を記載した書類(国税)
こちらが連結特有の書類ですね。
初葉と次葉と付表2(発行済株式等の状況)の記載が必要です。
添付書類としては出資関係図とグループ一覧ですがグループ法人税制で提出している出資関係図がグループ一覧の記載も兼ねていますのでそちらを提出すれば足りますね。
いままでの親会社の連結申告で添付していた出資関係図に今回設立した連結子法人の情報を追加すれば完成です。
3.給与支払事務所等の開設届出書(国税)
こちらは連結関係なく新設法人で提出する書類ですね。
今回は上場子会社の設立ということでいきなり従業員数が100名でしたので納期の特例は適用できませんが、従業員が10人未満であれば納期の特例の承認申請書も一緒に提出したいですね。
4.消費税の新設法人に該当する旨の届出書(国税)
今回は基準期間がない法人のうち、その事業年度の開始の日における資本金の額が1,000万円以上である法人(新設法人)に該当しましたので提出が必要になります。
これを提出しておかないと申告書と納付書が来ないんですよね。
あとは1期目に簡易課税を適用するかどうかの検討をして簡易課税を選択するのであれば1期目中に簡易課税制度選択届出書を提出しなければなりません。
ちなみに今回は課税売上高5億円超の連結親法人の100%子会社なので特定新規設立法人の規定が適用されるのかとも思いましたが条文上は特定新規設立法人の要件から新設法人(設立日資本金1,000万円以上)が除かれていますので特定新規設立法人には当たらないという整理でよいと思います。
5.法人設立届出書(地方税)
国税と同様に法人を設立したら必ず提出する書類ですね。
添付書類は定款と謄本(登記事項証明書)です。
ちなみに提出したのは東京都でしたが、東京都HPには以下の注意書きがありました。
「平成29年4月1日以後、国税の設立届出書への「登記事項証明書」の添付が不要となりましたが、都税では従来どおり、添付が必要となりますので、ご注意ください」
まあ、謄本はお客様からもらいますし、電子申請だと添付もPDF添付なのであまり手間なく送れるので問題ないです。
6.法人税に係る連結納税の承認等の届出書(地方税)
連結納税特有の届出書ですね。
当社が連結子法人であり法人税では連結納税をしていますよということをお知らせします。
地方税には連結納税がありませんが、国税で連結納税をしていると地方税の計算にも影響を及ぼしますのでお知らせする必要がありますね。
7.申告書の提出期限の延長の処分等の届出書・承認申請書(地方税)
国税の方は連結納税なので連結親法人の延長申請の中に組み込まれるため特段の手続きが必要ありませんが地方税は別途届出等する必要があります。
法人住民税の申告書の提出期限は法人税と連動しますのでその部分は「法人税で延長が認められてますよ」という届出になります。
法人事業税の申告書の提出期限は法人税や法人住民税とは別途の考え方になりますので承認申請書を提出して認めていただくという形になります。
書類としては同じ書式に組み込まれていますので1枚作成すればOKです。
8.事業所等新設・廃止申告書(地方税)
今回は連結親法人と他の連結子法人が既に同じビル内で活動しており、いわゆる「みなし共同事業」で事業所税の申告が必要になるため提出します。
消費税の届出と同様、提出しなくても特段問題にはならないんですが、これを提出しておかないと申告書と納付書が来ないんですよね。
申告忘れ、納付忘れを防ぐためにも積極的に提出しておきましょうよ。
以上、レアケースの解説でしたがどなたかのご参考になれば幸いです。