昨日、持続化給付金の申請要領の速報版が公表されましたね。
今回はその中に記載されている特例ケースについてご紹介いたします。
直前期の申告が完了していない場合
3月決算、4月決算法人が該当しそうですね。
3月決算法人は令和2年3月期が終わっている状態で申告期限が最短5月31日なので申請受付開始時の5月1日時点では税務申告が完了していない法人がほとんどだと思われます。
4月決算法人については4月30日に令和2年4月期が終わりますので5月1日の申請受付開始と同時に令和2年4月期の税務申告を終えている企業はほぼゼロでしょうね。
今後も時の経過につれて同じような状況になる法人が常に存在することになると思いますが、そのような状況になりましたら2期前の同月との比較が可能になります。
前期では要件を満たさないため敢えて2期前との比較に持ち込む企業も出てくるのかもしれません。
前期で要件を満たしていて2期前だと要件を満たさず決算日を経過してしまった場合、急いで税務申告をしないと持続化給付金の申請が出来ないなんてケースも想定されますね。
2019年分の確定申告をしていない場合
個人事業者で2019年分の確定申告をしていない場合の特例も有ります。
2019年分に所得が発生せず申告義務がなかった場合や、コロナウイルスの影響により未だ申告が出来ていない場合などが該当します。
2019年分に所得が発生せず申告義務がなかった場合は、2019年分の住民税の申告書類があればその資料を証拠資料として2019年の年間売上を12で割った金額を月平均の売上として判定することが出来ます。
2019年分の申告が出来ていない場合や紛失等で2019年分の申告書が手元にない場合などは2018年分の確定申告書類を証拠書類として2018年の同月比で判定することができます。
2019年に設立した法人、新規開業した個人事業者
2019年1月から12月までの間に法人を設立した場合または個人事業者が新規開業した場合、対象月の売上が、2019年の月平均の売上に比べて50%以上減少している場合は特例として要件を満たすことになります。
この特例は「選択することができる」となっていますので原則通り1年前の2019年の同月との比較でもよいということでしょう。
特例の計算式は以下のようになります。
S = A ÷ M × 12 - B × 12
S:給付額(上限200万円)
A:2019年の年間売上
M:2019年の設立・開業後月数(設立・開業した月は、操業日数にかかわらず、1ヶ月とみなす)
B:対象月の月間売上
証拠書類として前期の確定申告書類の提出が求められていますが2019年設立の法人だとまだ1期も決算が終わっていない可能性もありますよね。
その場合の取り扱いはまだ記載がありませんが恐らく売上台帳等で確認するものと思われます。
また、法人の場合、設立日が2019年1月1日から12月31日の間にあることを確認するため履歴事項全部証明書の提出が求められ、個人事業者の場合は開業届の提出が求められています。
月の売上の変動が大きい場合
収入に季節性がある場合など、特定の期間の売上が年間売上の大部分を占める場合は、下記の条件を満たすことで申請することができます。
これも「できる」とのことなので原則通りの判定でも問題ないことになります。
●適用条件:①・②の両方を満たす必要があります。
適用条件①:2020年の任意の連続した3か月(対象期間)の売上の合計が、前年同期間の3ヶ月(基準期間)の売上の合計と比べて50%以上減少していること。
適用条件②:基準期間の売上の合計が、基準期間の属する期の年間売上の50%以上を占めること。ただし、基準期間が複数の期にまたがる場合は、基準期間の終了月の属する期の年間売上の50%以上を占めること。■給付額の算定式
S = A ー B
S:給付額(上限200万円)
A:基準期間の売上の合計
B:対象期間の売上の合計
法人成した場合
2020年1月1日以降に法人成した場合の特例です。
個人事業者時代の売上と法人の売上で比較判定することができます。
2019年1月から12月の間に法人成した場合は2019年に設立した法人の特例で判定することになります。
2018年以前に法人成した場合は通常通り法人として判定ですね。
ただ、直前期の申告が完了していない場合の特例で2期前と比較する場合はどうなりますかね。
恐らくこの法人成り特例が適用できるものと思います。
なお、法人設立日が2020年4月1日までの場合は上限200万円になり、法人設立日が2020年4月2日以降の場合は上限は100万円になりますのでご注意を。
また、証拠書類として法人設立届出書と個人事業の廃業届出書の提出が求められておりそれぞれの届出書に以下の記載があることが要件になっているのでこれから法人成する場合、届出書作成の際はご注意ください。
法人設立届出書
⇒「設立形態」の欄で「個人企業を法人組織とした法人である場合」が選択されており、「整理番号」の欄に個人の確定申告の番号を記載していること。
個人事業の廃業届出書
⇒「廃業の事由が法人の設立に伴うものである場合」の欄に記載があり、その法人名・代表者名が申請内容と一致していること。
その他の特例
レアケースだと思いますが、その他の特例として合併法人、連結納税法人、NPO法人や公益法人等、罹災の影響を受けた法人などの特例もありますので該当しそうな方は経済産業省のホームページでご確認ください!