税理士業務

保険外交員の個人事業税について

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保険外交員は所得税の確定申告では事業所得として申告しながら個人事業税においては法定業種に該当しないとして個人事業税が課税されない扱いが一般的な取り扱いでした。

以下が個人事業税の法定業種です。

(東京都主税局HPより引用)

しかし、東京都では平成29年度分から保険外交員については確定申告書等の内容を精査した上で、基本的に「代理業」と認定し、課税対象とするケースが増加しているとのことです。

これは総務省からの通知等に基づく運用ではなく、東京都独自の運用ですが、他の自治体が同様の運用を行う可能性も考えられますので今後のお住いの自治体の動向に注意しましょう。

個人事業税における事業とは

個人事業税では「事業」に対して課税するという考え方ですので「事業」の定義が重要になります。

「事業」に該当しさらに「代理業」に該当するとして保険外交員に個人事業税が課税さ令和ることになります。

まずは地方税取扱通知を確認してみましょう。

〈地方税取扱通知(道府県税関係)(第3章第1節第1 1の5(2))の概要〉

  • 事業を行う個人とは,事業の収支の結果を自己に帰属せしめている個人をいう。
  • 他の諸法規において雇傭者としての取扱いを受けているということのみの理由で直ちに地方税法上「事業を行う者」に該当しないとはいえず,その事業に従事している形態が契約によって明確に規制されているときは,雇傭関係の有無はその契約内容における事業の収支の結果が自己の負担に帰属するかどうかによって判断し,契約の内容が明確でないときは,その土地の慣習,慣行等をも勘案のうえ当該事業の実態に即して判断する。

ここからは各自治体の判断になりますが「事業」と「代理業」について東京都の事務提要の概要は以下の通りです。

〈東京都の個人事業税課税事務提要の概要〉

  • 事業とは,一般に営利又は対価の収得を目的として,自己の危険と計算において独立的に反復継続して行われる経済行為と解される。しかし,事業の意義については地方税法上特段これを定義する規定が設けられていないため,ある経済行為が事業に該当するかどうかの判断は,最終的には法意及び社会通念に照らして行う。
  • 代理業は,①一定の商人のために(原則として特定の者のために),②反復継続して行われ,③取引を代理し,又は媒介する,④独立した事業であると認められることが必要。
  • 個人事業税の代理業に該当するかは,原則として申告書等の各種資料に基づき認定を行う。個人事業税にいう代理業は,通常は,自らが支配,管理することのできる営業所を有し,営業費を支出し,自己の活動形式と労働時間を決定して,そのなした行為について手数料を歩合的に受け取っているものであること。身分的従属関係のみを重視し,実質的に自己の責任において営業行為とみなし得る収支計算を行っている者に対して課税しないことは,課税の均衡を失することとなるため,十分調査を行う。
  • 外交員,外務員等の名称や名目上の契約にかかわらず,実態として代理業の定義を満たす場合には代理業に該当する。外交員,外務員等の課税の可否については,過去に具体的な個々の事例に関して関係府県と自治省との間に照復が行われ,課税対象外と示された例があるが,これらの行政実例はいずれも具体的な事例について個別に判定の結果を指示しているに止まり,代理業に該当する外交員,外務員等までを課税対象外とする趣旨ではない。

保険外交員が代理業に該当するか否かについての東京都の答申内容では以下のような点から代理業に該当すると判断されています。

  • 所得税の確定申告において外交員業務に係る報酬を事業所得として青色申告により申告している
  • 収入金額の50%前後の経費(家賃・減価償却費・旅費・備品費・交際費・販促費・給与等)を支出(自己負担)している(金額の多寡、パーセンテージはいろいろなケースがあります。収入が億超え、交際費1,000万超えのケースもあります。)
  • 歩合制報酬であり、営利又は対価の収得を目的として行われるものであることが明らかである

平成29年度分から東京都が保険外交員に個人事業税を課税する方針に変わったため平成30年度の答申では保険外交員の個人事業税に関する答申が多く公開されていますので興味のある方は確認してみてください。

東京都総務局総務部法務課 平成30年度 答申内容

個人事業税が課税されない場合は?

会社に雇用された立場の生命保険外交員であって、独立して事業を行っている事実がなければ個人事業税が課税されないことになります。

この雇用については形式的に判断するのではなく実態で判断されますので雇用契約があるだけでは不十分です。

上記の答申内容にあるように収入と経費の計算の仕方などの実態から雇用ではなく独立して事業を行っていると判断されてしまうと事業税が課税されることになります。

会社からの報酬の支払いが給与としての支払いで給与所得として確定申告している場合は自分で計算した経費を計上しないので個人事業税は課税されないでしょう。(年末調整で完結し確定申告していない場合も個人事業税は課税されません)

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