国税庁から公表されている消費税の軽減税率制度に関するQ&Aの改訂版が掲載されました。
改訂は昨年の11月以来4回目となります。
詳細は以下のリンクをご参照いただければと思いますが、今回の改定で追加されたものの概要をお伝えいたします。
消費税の軽減税率制度に関するQ&A(令和元年7月改訂)等を掲載しました(令和元年8月1日)
問22 炭酸ガスの販売
食品添加物の炭酸ガスを飲食店等に販売する場合、金属のボンベに充填された状態の炭酸ガスについて軽減税率の対象になるかという問いです。
答えは、〇 軽減税率の対象になります。
食品衛生法に規定する「添加物」として販売される炭酸ガスは「食品」に該当するためです。
なお、ボンベは炭酸ガスの販売に付帯して通常必要なものとして使用されると考えられるため、ボンベについても別途対価を徴収していなければボンベも含めて全体が軽減税率の対象になります。
問26 キャラクターを印刷したお菓子の缶箱等
キャラクターを印刷した缶箱にお菓子を詰めて販売している場合に、缶箱入りのお菓子が軽減税率の対象になるかという問いです。
答えは、〇 軽減税率の対象になります。
飲食料品の販売の際に付けるビニール袋やプラスチック容器、缶箱等は買った人が再利用することも多いと思いますが、通常、販売者は再利用されることを前提としていないためです。
キャラクターが印刷されていると再利用される可能性が高いようにも思えますが再利用を前提としているか否かの線引きも難しいため包装材料として付帯しているものは軽減税率の対象になるとしています。
問27 桐の箱の容器
果実を専用の桐の箱に入れて販売している場合、桐の箱も上記問26と同様に軽減税率対象の包装材料と考えてよいのかという問いです。
答えは、〇 軽減税率の対象になります。
ただし、桐の箱にその商品の名称などを直接印刷等して、その飲食料品を販売するためにのみ使用していることが明らかなとき、という条件付きではあります。
問28 割り箸を付帯した弁当、ストローを付帯した飲料等
お弁当に割り箸・爪楊枝・スプーン・お手拭き等を付けて販売する場合、またストロー付き紙パック飲料を販売する場合に軽減税率の対象になるかという問いです。
答えは、〇 軽減税率の対象になります。
これらは通常、飲食料品を飲食する際にのみ用いられると考えられているためです。
なお、飲食後に再利用されることを前提としているものは軽減税率の対象になりません。
問30 飲用後に回収される空びん
飲料の卸売業者がガラスびん入りの清涼飲料を飲食店に販売後、空びんを回収する際に支払う「びん代」は軽減税率の対象になるかという問いです。
答えは、× 軽減税率の対象になりません。
清涼飲料が入った状態で卸売業者から飲食店に販売する際はガラスびんも含めて飲食料品の販売として軽減税率の対象になりますが飲用後に回収する空びんには飲料は入っていませんので飲食料品の販売にはならず軽減税率の対象になりません。
問41 製作物供給契約による飲食料品の譲渡等の取扱い
製作物供給契約による飲食料品の譲渡が軽減税率の対象になるかという問いです。
答えは、△ 契約内容等により個別判断ということになります。
その取引が「製造販売」にあたれば軽減税率対象になり、「賃加工」にあたれば軽減税率対象になりません。
判断のポイントは
- 原材料や包装資材が無償支給か、有償支給か、自社調達か
- 対価の額はどのように設定されているか
- 完成品の所有権がどちらにあるか
といった点になります。
問42 販売奨励金
飲食料品にかかる販売奨励金が軽減税率の対象になるかという問いです。
答えは、〇 その対象となった取引が軽減税率対象取引であれば販売奨励金も軽減税率対象になります。
ただし、販売数量や販売高に応じて授受されるものが対象になりますので、販売奨励金という名目でやり取りが行われるものであっても販売数量や販売高に応じずに販路拡大などの役務の提供の対価として授受されるものは軽減税率対象になりません。
問43 自動販売機の手数料
自動販売機を設置することで飲料メーカーから受け取る販売手数料が軽減税率の対象になるかという問いです。
答えは、× 軽減税率の対象になりません。
例え販売数量に応じて手数料が計算されるものであったとしても飲食料品の販売の対価ではありませんので軽減税率の対象になりません。
問44 物流センターの使用料(センターフィー)
食品卸売業者の物流センターの使用料が軽減税率の対象になるかという問いです。
答えは、× 軽減税率の対象になりません。
例え販売数量に応じて手数料が計算されるものであったとしても飲食料品の販売の対価ではありませんので軽減税率の対象になりません。
問51 屋台等での飲食料品の提供
屋台のおでん屋、ラーメン屋、フードイベント等での販売が軽減税率の対象になるかという問いです。
答えは、× 軽減税率の対象になりません。
屋台やイベント等はテーブル、イス、カウンター等の飲食設備がありますので軽減税率の対象になりません。
ただし、縁日などにおける屋台でテーブル、イス、カウンター等が無い場合は軽減税率の対象になります。
問54 従業員専用のバックヤードで飲食する場合
スーパーの従業員が休憩時間に自分の勤めるスーパーの飲食料品を購入してバックヤードで飲食する場合に軽減税率の対象になるかという問いです。
答えは、〇 軽減税率の対象になります。
バックヤードはお客さんが入ってこないので飲食設備には該当しないという判断です。
なお、お客さんへの販売価格とは異なる従業員価格での販売でも問題なく軽減税率の対象になります。
問60 セット商品のうち一部を店内飲食する場合
ファストフード店で「○○セット」を販売する際に「ドリンクは店内で飲むけど、バーガーはテイクアウトで自宅で食べる」と言われた際に軽減税率の対象になるかという問いです。
答えは、× 軽減税率の対象になりません。
セットの一部でも店内で飲食する意思表示があれば全体が軽減税率の対象になりません。
なお、セットでの販売でなくドリンクとバーガーを単品で購入し、それぞれ別の意思表示をすれば店内飲食は軽減税率の対象外、持ち帰りは軽減税率の対象になります。
問67 合意等の範囲
飲食料品の販売事業者が自身では飲食設備をもっておらず、他の事業者が設置している飲食設備を顧客に利用させている場合のその飲食設備ついての販売事業者と設置事業者との合意の範囲についての問いです。
合意は契約書等で明らかにされていなくとも「黙示の合意」も含むとされています。
「黙示の合意」とはその設備にメニュー等を設置、顧客を案内、配膳、下膳、清掃を行っているなどの状況が例として挙げられています。
問68 遊園地の売店
遊園地の売店での飲食料品の販売が軽減税率の対象になるかという問いです。
答えは、〇 軽減税率の対象になります。
ただし、売店が管理するテーブルやイスなどがある場合はその場で飲食するかの意思確認を行って軽減税率の対象になるかの判断をする必要があります。
問88 食品と非売品のおもちゃの一括譲渡
新聞等でも報道されておりましたがマクドナルドのハッピーセットが軽減税率の対象になるかという問いです。
答えは、× おもちゃは軽減税率の対象になりません。
販売価格を合理的に区分しておもちゃは軽減税率対象外とすべきですが、この問いでは「おもちゃはゼロ円と考えることができる」としていますので結果的にハッピーセットは全体が軽減税率の対象になります。
おもちゃが付いていない場合も商品の価格が変わらないので販売価格におもちゃの代金は含まれておらず「おもちゃはゼロ円」と考えられるそうです。
あとは単品であればバーガー300円、ドリンク250円のものをセットで500円で販売しておもちゃを付けていれば「おもちゃはゼロ円」とする考え方も示されています。
問89 販促品付きペットボトル飲料
おもちゃが付いたペットボトルの販売は軽減税率の対象になるかという問いです。
答えは、△ 一体資産としての判定をすることになります。
ただし、一般的におもちゃ等のおまけが付いていても付いていなくても販売価格が変わらないと思われますのでそのような場合は「おもちゃはゼロ円」ということになり、結果的に販促品付きペットボトルは全体が軽減税率の対象になります。
問90 特定の飲食料品を購入した際にレジで配布される販促品
対象のおにぎりを購入した場合に3種類のステッカーのうち一つがもらえる場合に軽減税率の対象になるかという問いです。
答えは、× ステッカーは軽減税率の対象になりません。
ただし、ハッピーセットのケースと同様、ステッカーなしの場合でも販売価格が変わらないため結果的に全体が軽減税率の対象になります。
問94 食品と食品以外の資産の仕入に共通して要した付随費用
紅茶とティーカップを仕入れてパッケージングしてセット商品として販売する場合、その商品を仕入れる際の配送料等は一体資産の判定上、どちらに含めるべきかという問いです。
答えは、合理的に計算していればOK ということです。
問95 一体資産に含まれる食品にかかる部分の割合の売価による判定
一体資産に含まれる食品にかかる部分の割合を売価により判定していよいかという問いです。
答えは、合理的に計算していればOK ということです。
問100 ホテルに対して販売する新聞
ホテルに販売する新聞が軽減税率の対象になるかという問いです。
答えは〇、軽減税率の対象になります。
ただし定期購読契約に基づき毎回一定の固定部数を販売する場合に限りますので当日の宿泊数に応じて販売する部分は軽減税率の対象になりません。
問102 紙の新聞と電子版の新聞のセット販売
軽減税率の対象になる紙の新聞と電子版の新聞のセット販売が軽減税率の対象になるかという問いです。
答えは、紙の新聞と電子版の新聞の金額を区分したうえで紙の新聞は軽減税率の対象になり、電子版の新聞は軽減税率の対象になりません。
問117 年間契約の区分記載請求書
サーバーの年間保守契約で令和元年10月1日をまたぐ契約で月額○○円と契約書に記載している場合、消費税率8%と消費税率10%の期間が混在しますが請求書はどのように記載したらよいかという問いです。
答えは以下の通りです。
まとめ
いよいよ軽減税率の導入が近づいてきました。
今回追加されたQ&Aも10月以降多く出てくるケースだと思いますのでしっかり確認しておきましょう!