本日、国税庁より平成30年分民間給与実態統計調査結果が公表されました。
民間給与実態統計調査とは
民間給与実態統計調査とは昭和24年から毎年実施されている国税庁の調査で今回が70回目となります。
目的は国税庁ホームページから引用しますと以下の通りです。
この調査は、統計法に基づく基幹統計「民間給与実態統計」の作成を目的とする調査である。「民間給与実態統計」は、民間の事業所における年間の給与の実態を、給与階級別、事業所規模別、企業規模別等に明らかにし、併せて、租税収入の見積り、租税負担の検討及び税務行政運営等の基本資料とすることを目的としている。
民間の源泉徴収を行っている事業所を対象としています。
また、標本調査であり、全数調査ではありません。
調査の結果
源泉徴収義務者数・給与所得者数
世間では法人数の減少、人手不足という言葉をよく聞きますが数字で見ると給与を支払っている法人数は増加していますし給与をもらっている人も増えているんですね。
給与総額・税額
給与総額、源泉徴収税額もともに増加しています。
年間を通して勤務した給与所得者数
臨時的な雇用者でなく1年間を通じて勤務した給与所得者も増えています。
男女別でみると女性の伸び率の方が男性より高いですね。平成29年とは正反対です。
さらに正規、非正規でみると女性は正規の方が伸び率が高く、男性は非正規の方が伸び率が高いです。
女性の社会進出、男性は非正規雇用問題と現在の社会情勢を反映してるということが言えそうですね。
男女全体で見ても正規より非正規の伸び率が高くなっています。
年間を通して勤務した人の給与総額
こちらは1年間を通じて勤務した給与所得者数と同じ傾向になっています。
人数が増えた分、そのまま給与に反映されて給与総額が増えているという傾向ですね。
ただ人数の伸び率より給与総額の伸び率の方が高いため一人当たりの給与は増えているということが言えそうですね。
年間を通して勤務した人の平均給与
やはり、平均給与が上昇していますね。
男性・女性、正規・非正規いずれで見ても上昇しています。
伸び率が一番大きいのは非正規の男性でしたね。
正規雇用の男性が非正規に切り替わっているケースが多いことが予想されます。
業種別平均給与
業種別でみると伸び率に結構差がありますね。
全体では2%の伸びですが、最大の伸び率は「不動産業、物品賃貸業」の6.7%、最低の伸び率は「農林水産・鉱業」の▲4.4%となっています。
平均給与で見ると最高は「電気・ガス・熱供給・水道業」の7,590千円、最低は「宿泊業・飲食サービス業」の2,506千円となっており3倍以上の開きがあります。
非正規も含めてのところなので「宿泊業・飲食サービス業」には非正規が多く、「電気・ガス・熱供給・水道業」には非正規が少ないことも影響していると思われます。
ちなみに業種のより詳細な内訳は以下の通りです。
会社規模別平均給与
従業員数に応じた規模別平均給与も公表されています。
やはり従業員数が大きくなればなるほど平均給与も上昇していきます。
少し気になるのは100人~499人のところは30人~99人より給与が下がるところが見られる点です。
従業員100人超えたぐらいで会社としての成長は踊り場を迎え、その壁を超えられればより大きく成長できるということが言えるかもしれません。
資本金別平均給与
資本金別の平均給与です。
従業員数と同じく規模が大きくなるほど平均給与も大きくなりますね。
年齢別平均給与
新卒社員に1,000万円、なんてニュースを見たりしますがやはり日本はまだまだ年功序列、60歳定年の会社が多いことが分かりますね。
60歳手前をピークに右肩上がりです。
勤続年数別平均給与
長く勤務すれば給与も上がっていく、この傾向も昔から変わらないようですね。
定年を迎える前の34年勤務が最高になっています。
給与階層別人数
こんな表も公表されています。
なんだか興味深いのは400万~500万円ぐらいをピークにその後、人数が減っていくのですが1,000万円を超すところで人数がグッと増えるんですね。
「900万円代だったら思い切って1,000万円あげちゃおう!」と考える経営者が多いということですかね。
まとめ
自社の給与は他社と比較して高いのか安いのか気にされている社長も多いかと思います。
是非、このような統計資料を参考に自社の給与を検討してみてください。
優秀な人材を引き留めるには他社より高い給与ということも重要な要素ですよね。
今回ご紹介した表は全て国税庁ホームページから引用していますがその他にもさらに細かい表などもありますのでご興味のある方は下記リンクをご参照ください。
平成30年分民間給与実態統計調査結果について(令和元年9月27日)