昨日の投稿で「AI融資の比較」についてお話ししましたが昨日の日経新聞にも「オンライン融資」についての記事が載っていましたね。
三菱UFJ銀行やみずほ銀行などもAIを活用したオンライン融資に参入し、令和元年は「オンライン融資元年」の様相を呈しているのだとか。
オンライン融資の提案サービス
昨日の日経の記事に載っていたfreeeのオンライン融資提案サービスとはどのようなものでしょうか。
私も自分の事務所の経理はfreeeを使用していますので早速見てみました。
「資金繰り改善ナビ」
「資金繰り改善ナビ」なるメニューが登場しており実績の預金残高から今後3か月の預金残高の予測が表示されています。
さらに上振れした場合の予測と下振れした場合の予測も表示されており計3パターンの予測が折れ線グラフになって表れています。
表の下には資金繰り改善手段として「オファー型融資」「請求書ファイナンス」「カード」のメニューが表示されています。
「請求書ファイナンス」
いわゆる売掛債権の売却、ファクタリングですね。
「カード」
クレジットカードです。法人カードを作って支払いをカード払いにして支払いまでの期間を延ばすということですね。
「オファー型融資」
こちらが今回の目玉のようです。
freeeとライフカードの提携融資で中身はカード会社のビジネスローンです。
ですので商品内容としては昨日の投稿で比較した商品よりも金利が高めで最低でも7.8%、最高で18.0%に達します。
期間は最長82回払いまで引き延ばせますね。
こちらの審査はライフカード社が行うと思われますのでAIを利用した審査にはならないことが予想されます。
ライフカードに書類を送る必要があるらしく着金まで10営業日ほどかかることもあるらしいです。
やはり他社のAI融資・オンライン融資とは少し毛色が違います。(最短2日で着金を売りにする他社商品もありますので)
ポイントは「オファー型」というところでしょう。
freeeの会計データから資金繰りを予想し資金が必要そうな会社に融資の提案が自動でされるということです。
その過程でライフカード社の審査基準を自動判定し融資可能額まで提案できるとのこと。
AIが資金ショートを予測しその対策まで提案するところに新しさがありますね。
中小企業の経営者は常に資金繰りを気にして不安を抱えていますのでこのサービスは中小企業のニーズにマッチしているのではないでしょうか。
結果的にこのオファー型融資を使わず取引先金融機関に融資の相談をしてもよいですからね。
ライフカード社からの借入の金利を考えると資金繰り予測だけ利用し借入は他社で行った方がよいかと思います。
オンライン融資・AI融資について改めて思うこと
今までの投稿でも記載しましたがオンライン融資・AI融資はそれまでの通常の銀行融資に比べると金利は高めになることと思います。
しかし手続きが圧倒的に楽になるのは確かです。
中小企業融資で特にその金融機関で初めて借入するときは最短でも1か月は要します。
信用保証協会の保証付きであれば2か月かかることも普通です。
しかも会社の説明資料(決算書や取引内容を説明する資料)のみならず代表者の経歴や個人資産についても資料を提出する必要があるため非常に手間です。
また、最低でも2回は面談が必要になります。(申込時と契約時)
私たち税理士が書類作成のサポートをさせていただいたりもしますがそれでも社長や経理の方の負担は大きいです。
私の銀行員時代の融資セールストークに「初回の融資はすごく時間がかかりますので余裕のある時に実績作りで1度お借入れいただくと次からスムーズになり急に資金が必要な時に困りませんよ」というものがあったのを思い出します。
スピード・手軽さの面でオンライン融資・AI融資は期待できますね。
多少金利が高くともタイムイズマネーですから、銀行とのやり取りに割く時間を本業に充ててより多くの売上・利益を稼いだ方がメリットがありそうですね。
今はどこも手探り状態で高めの金利設定で融資限度額も低く借入期間も短いものが多いです。
現在の日本でビジネスを大きく展開していくには、やはり長期的な視点で見ると銀行等の金融機関と取引を重ねてより大きい金額、より長い期間、より低い金利での借入ができる関係を築いていくことが重要だと思います。
AI融資が今後数年実績を積み重ねてAIも進化していけばより柔軟な金利設定(低い会社はとことん利率が低くなる)になり融資限度額も借入期間も広がることと思います。
時代が変わるにはまだ少し時間がかかりそうですね。