今年も税制改正大綱が発表されましたね。
超速報として個人的に気になったものをざっくり解説いたします!
住宅ローン控除の縮小
新築住宅等について、居住年が令和4年・令和5年の場合、借入限度額は3,000万円、控除率は0.7%、控除期間は13年になります。
居住年が令和6年・令和7年の場合、借入限度額は2,000万円、控除率は0.7%、控除期間は10年になります。
なお低炭素住宅などの認定住宅等については借入限度額がそれぞれ1,000万円~2,000万円大きくなり最大で5,000万円の限度額になるケースもあります。
また、適用対象者の所得要件が現行の3,000万円以下から2,000万円以下に引き下げられます。
その他、現在は確定申告や年末調整で住宅ローンの年末残高証明書を添付(提出)していますが令和5年1月1日以降に居住した方は添付が不要になります。
一方で銀行等に所定の申請書を提出することになり、銀行等から税務署に年末残高に関する調書が提出される流れになるようです。
子法人が親法人に配当する場合の源泉徴収が不要に
100%完全親会社、発行済株式等の3分の1超を保有されている親法人に配当を支払う場合、所得税の源泉徴収が不要になりました。
実務的には納付、調書の提出、法人税申告書上での税額控除など煩雑な部分が大きかっただけにこの改正はうれしいですね。
住宅取得等資金の贈与税の非課税
直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置については適用期限が令和5年12月31日まで延長になります。
非課税限度額はそれぞれ次のようになります。
耐震,省エネ又はバリアフリーの住宅用家屋 | 1,000万円 |
上記以外の住宅用家屋 | 500万円 |
また、贈与を受ける人の年齢要件が現行20歳以上のところが18歳以上になります。
これらは令和4年1月1日以後に贈与により取得する住宅取得等資金に係る贈与税について適用されます。
所得拡大促進税制の見直し
大法人(中小企業以外)
令和3年度税制改正では継続雇用者の考え方がなくなり新規雇用者の給与を増やすことが条件になりましたが、また継続雇用者の考え方が復活するようです。
具体的には継続雇用者給与等支給額の対前年度増加率が3%以上の企業を対象に、控除対象雇用者給与等支給増加額の15%の税額控除ができることになります。
さらに①継続雇用者給与等支給額の対前年度増加率が4%以上の企業は、税額控除率に10%を上乗せ、②教育訓練費の対前年度増加率が20%以上の企業は、税額控除率に5%を上乗せされます。
これら上乗せ措置を適用した場合、税額控除率は最大で30%となります。
さらなる注目ポイントとして、資本金の額等が10億円以上であり、かつ、常時使用する従業員の数が1,000人以上の企業については、「給与等の支給額の引上げの方針、取引先との適切な関係の構築の方針その他の事項をインターネットを利用する方法により公表したことを経済産業大臣に届け出ていること」という要件が追加されます。
なお、継続雇用者の考え方については以前あったものと同じで前期と当期の全ての月(1年決算であれば24か月)に給与の支給がある従業員ということになりますね。
中小企業
中小企業における所得拡大促進税制については、①雇用者給与等支給額の対前年度増加率が2.5%以上の企業は、税額控除率に15%を上乗せ、②教育訓練費の対前年度増加率が10%以上の企業は、税額控除率に10%を上乗せされます。
これら上乗せ措置を適用した場合、税額控除率は最大で40%となあります。
控除率40%は大きいですね。
ただ、控除上限は法人税額の20%で据え置きのようなので上限に達してしまって控除率40%の控除額をフルに適用できる会社はあまりないのではないでしょうか。
中小企業は継続雇用者の考え方の復活は無しですね。
電子帳簿保存制度の見直し
来年1月から義務化予定であった電子取引(メールで受領した請求書PDFなど)のデータ保存の義務化が2年間先送りになりました。
義務化は令和6年1月1日からになりますのでしばらくは準備せず様子見でも良いと思います。
財産債務調書制度の見直し
現行の提出義務者はその年分の所得金額が2,000万円超で、かつ、その年の12月31日において有する財産の価額の合計額が3億円以上(または有価証券等の合計で1億円以上)でした。
これが、改正により、その年の12月31日において有する財産の価額の合計額が10億円以上である居住者が提出義務者に加えられます。
提出期限については、その年の翌年の6月30日(現行:翌年の3月15日)となります(国外財産調書も同様)。
これらは令和5年分以後の財産債務調書に適用されます。