各省庁の新着情報

超速報!令和6年度税制改正大綱について

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

今年も税制改正大綱が発表されましたね。

超速報として個人的に気になったものをざっくり解説いたします!

接待飲食費の「一人当たり5,000円以下」基準が「一人当たり10,000円以下」

中小企業は交際費を年800万円まで全額損金算入できる特例措置を延長するとともに、大企業も含めた全ての企業について、損金不算入となる交際費等の範囲から除外される飲食費の金額基準が一人当たり5,000円以下から一人当たり10,000円以下に引き上げられます。

賃上げ促進税制の強化

従来の大企業のうち、従業員数2,000人超の大企業については継続雇用者給与等支給額の3%以上の増加要件は維持しつつ控除率の上乗せについてさらに高い賃上げ率の要件を創設し、従来の4%に加え、5%、7%の賃上げが促されます。

従来の大企業のうち、従業員数2,000人以下の企業については、新たに「中堅企業」の区分を設け、控除率を見直されます。

中小企業では、現在の制度では赤字で法人税の納税が発生しない場合は従業員の給料を増やしたとしても所得拡大促進税制の適用をすることができませんでした。

今回の改正により赤字で法人税の納税が発生しない場合も、翌期以降に5年間、控除額を繰り越すことができるようになるため将来黒字化して法人税の納税が発生した場合に控除することができるようになります。

繰越控除する年度については、給与等支給額が対前年度で増加していることが要件として追加されます。

また、教育訓練費を増加させた場合の控除率の上乗せ要件の緩和や子育てと仕事の両立支援や女性活躍の推進の取り組みを後押しする観点から「くるみん」「えるぼし」を活用している企業の控除率の上乗せが新たに設けられます。

これらの改正により最大控除率は大企業・中堅企業については現行の30%から35%に、中小企業については現行の40%から45%に引き上げられます。

中小企業のM&A税制の拡充

現在は中小企業がM&Aで株式を取得した際に取得価額の70%を損金算入できる仕組みですが最大100%に拡充されます。

より詳細には1社目が90%、2社目以降が100%損金算入になります。

なお、経営力向上計画の認定も必要になります。

対象となる株式の取得価額は1億円以上100億円以下になります。

注意点としては現行制度では損金算入した金額は5年後から5年かけて均等に益金に算入する必要があるためいわゆる期ズレ(課税の繰り延べ)であり10年間通算で考えれば節税にはなりません(税率が変わらない前提)。

この益金に算入する期間が5年から10年に伸ばされるため課税をより先送りすることができるようになります。

外形標準課税の適用拡大

大企業による適用逃れを目的とした減資や分社化等が問題視されていましたがついに適用基準が改正されることになりました。

まず、減資への対応として前期に外形標準課税の対象だった法人が資本金1億円以下になった場合でも資本金と資本剰余金の合計額が10億円を超える場合には外形標準課税の対象となります。

ということで現状で外形標準課税の対象となっていない法人まで外形標準課税の対象とされるような改正にはならずホッとしましたね。

ただし、大企業の子会社は注意が必要です。

具体的には資本金と資本剰余金の合計額が50億円を超える法人の100%子法人については、資本金が1億円以下であっても資本金と資本剰余金の合計額が2億円を超える場合は外形標準課税の対象となります。

倒産防止共済の再契約の損金算入制限

倒産防止共済(経営セーフティ共済)は最大800万円まで掛金を損金算入することができます。

そして資金繰りが厳しくなった場合などは任意解約すれば掛金を手元に戻すことができます。

解約してから再度契約することも可能で、再契約すればまた最大800万円まで掛金を損金算入することができました。

これが改正により再契約の場合、解約から2年以内は損金算入が制限されることになります。

なお、この改正は令和6年10月1日以後の解約分より適用されます。

消費税のプラットフォーム課税の導入

海外のアプリ開発業者が日本のユーザーにアプリやゲームを販売、利用させて得た収入について、本来日本の消費税を納税すべきところ納税せずに逃れている問題がありました。

日本の国税としても対応に苦慮していましたが諸外国と同様にプラットフォーム課税を導入することになりました。

GoogleやAppleなどのプラットフォーマーに課税することで消費税の課税漏れを無くす改正ですが消費者の立場としてはこれを機に海外の開発業者が提供するアプリやサービスに明確に日本の消費税が上乗せされる結果、利用料が高くなることが懸念されますね。

インボイス制度で帳簿の記載事項の見直し

帳簿の保存のみで仕入税額控除の適用が認められる自動販売機特例等においては、現在は帳簿に自販機が存在する住所を記載する等の対応が求められていました。

これら、実務的には相当煩雑で本当にそこまですべきか実務家の間でも議論になっていましたが正式に記載不要になります。

簡易課税適用者が課税仕入れを行った場合の経理処理方法の明確化

具体的には、免税事業者などのインボイス発行事業者以外の者からの仕入れについては本来は仮払消費税額等は生じないことになりますが、継続適用を要件に仮払消費税額等を計上できることとする等の所要の見直しが行われます。(2割特例適用者も同様)

簡易課税を適用している場合は税込経理を適用するケースが多いと思いますが税抜経理をしている場合に消費税の精算仕訳をした際の雑損失(実際は雑収入になることが多いと思いますが)について、税抜対価に上乗せすることなく損金算入できるということになります。

今までの同様の処理で特別問題視されていなかったと思いますがインボイス制度の導入に伴い免税事業者からの仕入についての仮払消費税額等が損金算入できないことが明確化されたことに伴い簡易課税適用時の取り扱いについても明確化されたものと思われます。

結果的に今までと変わらずでOKということなのであまり気にしなくてもいい部分かもしれません。

所得税・住民税の定額減税

本人と配偶者を含めた扶養家族1人につき、令和6年分の所得税3万円、令和6年度分の個人住民税1万円の減税が行われます。

減税の実施方法としてはサラリーマン世帯は令和6年6月1日以降の源泉徴収・特別徴収で減税分が控除されることになります。

そして年末調整の際にも年税額から控除して再計算されることになります。

ややこしい感じになりそうなので実務上の取り扱いに要注意ですね。

フリーランスの方については令和6年分の所得税に係る第1期分予定納税額から本人分は控除されるようです。

残りは第2期分予定納税で、予定納税が無い方などは令和6年分の確定申告で控除することになります。

住民税の方は普通徴収の第1期分から順に控除されるようです。

こちらもややこしい感じになりそうですね。

なお、合計所得1,805万円超(給与収入のみの場合は年収2,000万円超に相当)の方は対象外になります。

住宅ローン控除は子育て世帯で拡充

子育て世帯及び若者夫婦世帯の借入限度額について、新築等の認定住宅については500万円、新築等のZEH水準省エネ住宅・省エネ基準適合住宅については1,000万円の借入限度額の上乗せ措置が講じられます。

また子育て世帯では新築住宅の床面積要件について合計所得金額1,000万円以下の場合に限り40㎡に緩和されます。

なお対象者は以下の要件になります。

  • 年齢40歳未満であって配偶者を有する者
  • 年齢40歳以上であって年齢40歳未満の配偶者を有する者
  • 年齢19歳未満の扶養親族を有する者

16~18歳の扶養控除の縮小

児童手当の支給対象が高校生に拡大するのに伴い扶養控除は縮小になります。

所得税は現在年38万円の控除が25万円に、住民税は現在年33万円の控除が12万円に引き下げられます。

実施時期については令和7年度税制改正に先送りされ、所得税では令和8年分以降、住民税では令和9年度分以降の適用を見込んでいます。

ひとり親控除の拡充

ひとり親控除については対象となるひとり親の所得要件について、現在の合計所得金額500万円以下を1,000万円以下に引き上げられます。

また控除額についても所得税が現在の35万円から38万円に、住民税が現在の30万円から33万円に引き上げられます。

ただ、こちらについても実施時期は扶養控除の見直しと併せて議論するとして先送りになり、所得税では令和8年分以降、住民税では令和9年度分以降の適用を見込んでいます。

生命保険料控除も子育て世帯で拡充

現在、2012年以降の契約は所得税が最大4万円、住民税が最大2万8千円の控除になっているところ、23歳未満の扶養親族がいる場合、所得税は最大6万円まで控除額を引き上げることになります。

なお、一般・介護医療・個人年金の合計適用限度額については現行の12万円から変更されません。

そして、住民税の控除額も維持となりました。

リフォーム促進税制の拡充

現在はバリアフリー、省エネ対策などに限られているリフォーム促進税制の対象に家事や育児負担の軽減につながるリフォームも対象に加えられます。

工事の限度額は250万円で工事費用の10%を所得税から控除する仕組みのため所得税からの控除額は最大25万円になります。

住宅資金贈与の非課税の延長

2023年の年末で期限を迎える住宅資金贈与の非課税が延長されます。

延長を繰り返してきた本制度ですが今回も延長です。

事業承継税制の特例承継計画の提出期限の延長

2024年3月末で期限を迎える予定の特例承継計画の提出期限が延長されます。

2026年3月末まで2年延長です。

期限までに特例承継計画の作成が間に合わないとして諦めていた方は再度検討してもよいかもしれませんね。

Follow me!

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

コメントを残す

*

PAGE TOP