起業・創業支援

ネット専業銀行だけでなくリアル店舗のある銀行の口座を作っておくべき5つの理由!

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

法人が銀行で預金口座を作ることが年々難しくなっていますよね。

特に新たに法人を作った場合は銀行に何件も断られてしまうケースが普通になってきました。

そんな中、ネット専業銀行は新設法人でも比較的簡単に口座開設できるのでリアル店舗のある銀行の口座開設は諦めてネット専業銀行の口座だけで経営されている法人をよく見かけます。

なぜ口座開設が難しいのか

基本的な問題ですがなぜ口座開設が難しくなっているのでしょうか。

それは銀行がマネー・ローンダリングおよびテロ資金供与対策に力を入れているからです。

より正確に言えば銀行が国からそれらの対策に力を入れるよう指示されているからです。

さらにいえばこれらの対策は国際的な問題であり、対策強化のため各国の金融機関や監督当局の体制を審査している国際機関(FATF)の審査結果が昨年公表されました。

それによりますと、日本の総合的な判定は3つのある区分のうち中間の「重点フォローアップ国」でこれまでの対策を評価する一方で定期的な改善状況の報告を求めています。

具体的には、地方銀行など規模の小さい金融機関では、法人の代表者の本人確認といった継続的な顧客管理の態勢が不十分で、大手銀行並みの水準に引き上げるよう求めています。

といった感じで国際的な流れで口座開設が難しくなっているんですね。

なぜネット専業銀行が口座開設がしやすいのかの詳細な理由までは不明ですが、国からの指導・監督が大手銀行では厳しく、地方銀行など規模の小さい金融機関の方が比較的緩く、ネット専業銀行はさらに緩いといった感じではないでしょうか。

ネット専業銀行だけでなくリアル店舗のある銀行の口座を作っておくべき5つの理由

ネット専業銀行の口座が作りやすくリアル店舗のある銀行の口座開設は難しいのでどうしてもネット専業銀行の口座だけになってしまいがちですが、それでもリアル店舗のある銀行の口座を作っておくことをお勧めします。

理由1ネット専業銀行では税金の口座振替ができない

一昔前までは税金の納付は専用の納付書を銀行に持っていって窓口で納付する方法しかありませんでした。

しかし最近は口座振替やATM納付、クレジットカード納付やコンビニ納付やスマホ決済なんかもできたりします。

なかでも一番簡単で便利なのがダイレクト納付という方法です。

固定資産税や自動車税など利用できない税目もありますが法人の税金納付のメインである法人税・事業税・住民税・源泉所得税は全てダイレクト納付が可能です。

ダイレクト納付とは、e-TaxやeLTAXにより申告書等を提出した後、預貯金口座から即時又は指定した期日に口座引落しにより納付する手続です。

e-TaxやeLTAXの手続きを税理士が代行していれば自社での手続きは何も必要ありません。

何もせずに自動で納税が完了しているのです!

ただ、ネット専業銀行ではこのサービスが利用できないのです。

ダイレクト納付より利便性は少し落ちますがPay-easy(ペイジー)納付という方法があります。

ペイジーとは、金融機関の窓口やコンビニのレジに並ぶことなくパソコンやスマートフォン・ATMから支払うことができるサービスです。

時間帯や場所を気にせず、番号を入力するだけの簡単操作で支払いが完了します。

ネット専業銀行ではこのサービスも利用できないところがほとんどなのです。(楽天銀行など利用できる銀行もあります)

理由2ネット専業銀行では社会保険料の口座振替ができない

ネット専業銀行では税金だけでなく社会保険料の口座振替もできません。

税金は従業員が10人未満であれば毎月納付することはなく、年に1回や2回という法人がほとんどですのでそこまで不便にはならないかもしれません。

しかし、社会保険料の納付は従業員が1人であっても毎月必要になります。

毎月納付書で納付するのは結構しんどいですよ。

納付漏れの可能性もありますよね。

ペイジーができるネット専業銀行でペイジー納付するにしても毎月の納付作業は結構な手間です。

また、会社の規模が小さいうちは年に1回の納付で済みますが労働保険料の納付もネット専業銀行の口座は口座振替に対応していません。

その他、公共料金の引落も対応していないケースがありますので注意が必要です。

理由3倒産防止共済に加入できない

期末直前に思っていたより大きい利益が出ていることが判明して急な節税対策が必要になった時に便利に使えるのが倒産防止共済です。

ここでは倒産防止共済を使った節税手法の説明は省略しますが倒産防止共済を契約する際にはリアル店舗のある銀行の口座が必要になります。

ネット専業銀行では保険料の振替口座として設定できないためです。

倒産防止共済は急な節税対策として利用することも多いので将来の倒産防止共済活用のため、今は必要が無くてもあらかじめリアル店舗のある銀行の口座を開設しておくことをお勧めします。

理由4日本政策金融公庫の融資ができない

法人を設立して最初の融資は日本政策金融公庫という方がほとんではないでしょうか。

ただ、日本政策金融公庫は預金機能を有していませんので融資金の入金口座と返済金の振替口座はどこかの金融機関の口座から行う必要があります。

この口座にインターネット専業銀行の口座が指定できないのです。

融資という点でいうと、ネット専業銀行ではオンラインレンディングは行っていたりしますが信用保証協会付の融資などいわゆる一般的な融資を受けることはできません。

融資の面からみてもリアル店舗のある銀行の口座を作っておくべきですね。

理由5取引先からの信用が低い

これはここ数年ではあまり影響が無くなってきているかもしれません。

ネット専業銀行が登場した当初は知名度の低さもあり売上入金口座などにネット専業銀行の口座を指定すると取引先から不安に思われるということがあったとかなかったとか。

ということで大きい影響はなくなってきていると思いますが、今は逆にリアル店舗のある銀行の口座を開設できているということ、さらには都市銀行など大手銀行の口座を開設できているということがしっかりした会社であることの証明として自社の信用力の高さをアピールできるかもしれません。

リアル店舗のある銀行で口座開設が断られる理由

リアル店舗のある銀行で口座開設をすべき理由はご理解いただけと思いますが口座開設を申し込みに行っても断られるケースがありますのでその理由を見てみましょう。

本店登記している住所がバーチャルオフィス

本店登記している住所がバーチャルオフィスの場合、実体のないペーパーカンパニーである可能性があるため銀行の審査が慎重になります。

もちろんバーチャルオフィスでもリアル店舗のある銀行の口座を開設できている法人は多くありますので絶対にダメということではありませんが注意が必要です。

定款の事業目的に多くの事業を記載している

定款の事業目的に多くの事業を記載しているとその会社の実態がつかめず犯罪目的の会社ではないかと疑われてしまう可能性が高くなります。

どれくらいの量で疑われるのかというラインは難しいのですが設立時に10個以上であると多いという印象です。

年数を重ねて会社規模も大きくなってくると10個以上になることも普通ですが設立時から10個以上になってしまうことは稀ですので注意しましょう。

資本金が小さすぎる

現在は資本金1円から法人設立が可能ですが現実的には資本金1円では事業活動は難しいです。

1円で設立してすぐ借入ができればよいですが資本金1円の会社では借入の審査も通りづらいので社長が会社に運転資金を貸付することになります。

それであれば最初から資本金として登記しておけばいいわけです。

とすると犯罪目的でとりあえず法人設立したのでは?と疑われてしまうのですよね。

これもいくら以上であればいいかというラインは難しいのですが少なくとも100万円はほしいところです。

メインの事業目的に必要な許認可が取得出来ていない

会社名が○○食堂で事業目的の1番に飲食業と記載されているのに飲食業の許可がない。

会社名が○○運送で事業目的の1番に運送業と記載されているのに運送業の許可がない。

などの場合も注意が必要です。

ペーパーカンパニーと疑われて口座開設ができない可能性があります。

口座開設を断られないためにすべきこと

口座開設が断られる理由を理解し対策しておく

基本は口座開設が断られる理由を理解し対策しておくことが重要です。

それぞれの理由に該当しないように対策をしておきましょう。

法人設立前に理解して対策しておくことが重要ですが既に設立してしまった場合も上記理由に該当しないように改善していくことが重要です。

日本政策金融公庫の融資審査を通しておく

リアル店舗のある銀行の口座を作っておく理由の逆になりますが日本政策金融公庫の融資審査を先に通してしまい、その融資契約書(金銭消費貸借契約書)を持って口座開設にいけば法人の事業実態は既に日本政策金融公庫が審査して認めているということになりますので口座開設審査もスムーズにいくことがほとんどです。

「日本政策金融公庫の融資の入金、返済口座を作りたいんですけど」という風に申し込みましょう。

ちなみに審査が先、口座開設が後、の流れでも日本政策金融公庫の融資審査に影響はありませんのでご安心ください。

場合によっては日本政策金融公庫に銀行を紹介してもらえることもありますよ。

税理士に一筆書いてもらう

これは実際に私が顧問先に対して行ったことですが事業実態があることと、その銀行で口座開設をすべき理由などを書面にして税理士印を押印して窓口に持参してもらいました。

最初に社長のみで申込に行ったときは断られてしまったのですが、この書面を持参して再度申し込みに行ったところ口座開設ができたということがありました。

また、口座開設をする銀行、支店にこだわらなければ税理士に銀行を紹介してもらうということも可能です。

私も何件か古巣の銀行を紹介したことがありますよ。

取引先から紹介してもらう

取引先が口座開設している銀行を紹介してもらうという方法も有効です。

既に取引実態のある法人がその取引先として紹介するということで実態のある法人として認めてもらえる可能性が高いです。

大手都市銀行より地方銀行、信用金庫を狙う

冒頭のなぜ口座開設が難しいのかでも記載しましたが、FATFの審査で「地方銀行など規模の小さい金融機関では、法人の代表者の本人確認といった継続的な顧客管理の態勢が不十分で、大手銀行並みの水準に引き上げるよう求めています。」というような指摘がされています。

ということは地方銀行など規模の小さい金融機関は大手銀行に比べて審査が緩いということが言えると思います。

まとめ

ネット専業銀行にはメリットも多くあります。

一番のおすすめはネット専業銀行・地方銀行または信用金庫・大手都市銀行の3つの口座を持っておくことですね。

それぞれにそれぞれのメリットデメリットがありますので!

Follow me!

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

コメントを残す

*

PAGE TOP