創業時は思うように売上が上がらず資金繰りが厳しいということが多いです。
そこで創業融資を受けて資金繰りを安定させて事業を軌道に乗せるというのが王道の解決策ですね。
しかしとある調査によると起業を検討している人のうち、約8割の方が「借金や個人保証を抱えること」を不安視して起業に踏み切れないということのようです。
そこで、そのような不安を取り除き起業・創業を後押しするために経営者保証を不要とする創業時の新しい信用保証制度としてスタートアップ創出促進保証制度が始まります。
今回はその概要について見ていきたいと思います。
保証対象者
スタートアップ創出促進保証制度の対象になる方は以下の方々です。
- 創業予定者(これから法人を設立し、事業を開始する具体的な計画がある者)
- 分社化予定者(中小企業にあたる会社で事業を継続しつつ、新たに会社を設立する具体的な計画がある者)
- 創業後5年未満の法人
- 分社化後5年未満の法人
- 創業後5年未満の法人成り企業
創業後5年未満で対象になるというのはうれしいですね。
5年近くなると軌道に乗っている方々も多いかもしれませんが昨今の新型コロナウイルスの影響でまだうまく軌道に乗れてない方も申し込みを検討したいところですね。
既に個人事業で創業されている方は個人で借り入れするより法人成りして法人として借りる方が事業を失敗したときに個人で借金を抱えるリスクが無くなるためこれをきっかけに法人成りを検討されてもよいかもしれませんね。
保証限度額
3,500万円
保証期間
10年以内
据置期間
1年以内(一定の条件※を満たす場合には3年以内)
※次のいずれかに該当する場合
- 本保証付借入と原則同時に、申込金融機関からプロパー借入をする
- 保証申込時にプロパー借入の残高がある
金利
金融機関の所定金利
保証料率
各信用保証協会所定の創業関連保証の保証料率に0.2%上乗せした保証料率
やはり、保証協会としては貸倒リスクが大きくなるため保証料の上乗せをするんですね。
担保・保証人
不要
その他の条件
創業計画書(スタートアップ創出促進保証制度用)の提出が必要
以下にリンクを貼っておきますが日本政策金融公庫の創業計画書とそれほど変わらない内容なので決して難しいものではありませんね。
創業計画書(スタートアップ創出促進保証制度用)(EXCEL形式:55KB)
自己資金要件
保証申込受付時点において税務申告が1期も終わっていない場合は創業資金総額の1/10以上の自己資金を有していることが必要になります。
こちらも公庫の創業融資と同じ条件ですのでそれほど高いハードルではありませんね。
融資後の確認
原則として会社を設立して3年目と5年目のタイミングで中小企業活性化協議会による「ガバナンス体制の整備に関するチェックシート」(様式未発表)に基づいた確認および助言を受けることが必要になります。
持続的な成長と中長期的な企業価値向上を実現させるためにはガバナンス体制の整備・強化が必要であり、中小企業活性化協議会が「経営の透明性」「法人個人の分離」「財務基盤の強化」等についてチェックを行うということです。
申込について
現在、各信用保証協会で事前相談受付中の状態です。
正式な申込受付開始は今月中とのことですので申し込みを検討されている方は準備をしておきましょう。
公庫の新創業融資制度との比較
実は公庫の新創業融資制度も代表者の個人保証が不要な融資として新創業融資制度があります。
対象者
税務申告を2期終えていない方
ということでスタートアップ創出促進保証制度より期間の制限は厳しいですね。
限度額
3,000万円(うち運転資金1,500万円)
ということでこちらもスタートアップ創出促進保証制度より厳しいですね。
保証期間
各融資制度に定めるご返済期間以内
となっておりますが、これは新創業融資制度が他の融資制度と併用することにより利用可能な制度のためです。
金利
公庫の所定金利
保証料率
なし
担保・保証人
不要
その他
基本的に無担保・無保証人の融資制度ですが、代表者の個人保証を付けることも可能で、その場合は利率が0.1%低減されます。
まとめ
代表者の個人保証が無くなれば日本での創業率がアップするのかやや疑問なところはありますが、融資から代表者保証が無くなることは歓迎すべきですね。
創業をご検討中の皆様、事業のスタートには代表者保証不要の融資制度をご活用ください!