何かと使い勝手のいい倒産防止共済ですが銀行窓口での申し込みが上手くいかないケースがあったりします。
そんな時は顧問税理士を窓口にして申し込みが出来ることをご存知ですか?
倒産防止共済とは
基本的なところですが倒産防止共済とは以下の通りです。(中小機構HPより引用)
経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済制度)は、取引先事業者が倒産した際に、中小企業が連鎖倒産や経営難に陥ることを防ぐための制度です。
無担保・無保証人で掛金の最高10倍(上限8,000万円)まで借入れでき、掛金は損金または必要経費に算入できる税制優遇も受けられます。
期末の節税対策によく使われる
掛金は全額損金または必要経費に算入できます。
しかも掛金の前払いが可能で前払い分も損金または必要経費に算入できるため期末近くに翌年1年分を前払いして節税対策に利用されるケースが多いと思います。
月額掛金の最高額が20万円なので20万円×12か月=240万円の節税になります。
本当に1年前払いでも損金算入が可能か念のため条文で確認しておきましょう。
租税特別措置法 第66条の11 特定の基金に対する負担金等の損金算入の特例
法人が、各事業年度において、長期間にわたつて使用され、又は運用される基金又は信託財産に係る負担金又は掛金で次に掲げるものを支出した場合には、その支出した金額は、当該事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入する。二 独立行政法人中小企業基盤整備機構が行う中小企業倒産防止共済法の規定による中小企業倒産防止共済事業に係る基金に充てるための同法第2条第2項に規定する共済契約に係る掛金
さらに租税特別措置法基本通達に以下のものがあります。
通達66の11-3で「前納の期間が1年以内であるものを除き、措置法第66条の11第1項第2号に掲げる掛金に該当しない。」とありますので裏を返せば「前納の期間が1年以内であるものは該当する」ということで翌期1年分の保険料を期末近くに払って損金算入することができます。
ちなみに所得税も同じ条文構成、通達になっていますのでご安心ください。
途中解約でも掛金が全額戻ってくる
ここも使い勝手の良い部分ですが共済契約を解約された場合は、解約手当金を受け取れます。
自己都合の解約であっても、掛金を12か月以上納めていれば掛金総額の8割以上が戻り、40か月以上納めていれば、掛金全額が戻ります(12か月未満は掛け捨てとなります)。
いってみれば40か月満期の定期積金に積立しながら積立金が経費になるような感覚です。
40か月未満で解約すると元本割れしてしまうのが注意点ですね。
あとは解約手当金は全額益金算入になりますので事業で損失が出たときなどに解約して損失とぶつけるようにしたいですね。
加入資格
継続して1年以上事業を行っている中小企業者(個人事業者も可)で、以下の加入要件に該当する場合に、加入できます。
(中小機構HPより引用)
申込方法
倒産防止共済への加入手続きは、「中小機構と業務委託契約を締結している機関で、会員(組合員)となっている団体または融資取引がある金融機関の本支店の窓口で行ってください。」と中小機構のHPに記載されています。
王道は銀行等金融機関窓口での申し込みです。
なお「融資取引がある」と記載されていますが実務上は融資取引が無くとも預金取引が1年以上あれば申込できます。
しかし注意点があり、ゆうちょ銀行、農業協同組合、労働金庫、新生銀行、あおぞら銀行、外資系銀行、インターネット専業銀行等は取扱いをしていないのです。
もう1点、銀行窓口でも倒産防止共済の申し込みは年に数回のレア手続きなので窓口の行員があたふた、取り扱いをよく調べずに「融資が無いとだめですね」と追い返されることもあるとかないとか。
税理士が申込窓口になれる
そんなこんなで、取り扱いできる銀行と取引していない、銀行窓口で追い返された場合は顧問税理士に相談してみてください。
税理士、正確に言うと税理士協同組合が加入窓口になることが出来るのです。
ちなみに顧問税理士を通した場合も口座振替申出書に銀行等の口座確認印が必要になりますので一度は銀行に行く必要があります。
銀行ですんなり手続きが出来る場合は、申込書も銀行に備え付けてありますので一度銀行に行って手続きすれば全てが済みますが、税理士を通す場合は、
①税理士のところに行って申込書を書く
②銀行に行って口座振替申出書に口座確認印をもらう
③その口座振替申出書を税理士に提出する
という3段階が必要になりますので多少手間がかかります。
まとめ
倒産防止共済は使い勝手のいい節税手法ですのでぜひ検討しましょう。
もし銀行窓口での申し込みが出来ない場合は顧問税理士に相談しましょう!