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税理士業務

中小企業が企業年金を導入する場合

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企業年金というと上場企業など大き目の企業で導入するイメージがあるかもしれませんが、中小企業でも企業年金を導入している会社は多くあります。

採用活動を有利に進めるため企業年金を導入していることをアピールしたいと考える中小企業も多いですね。

今回は中小企業が企業年金を導入する場合、どのような選択肢があるかについてのお話です。

かつての王道、厚生年金基金と適格退職年金

少し前まで企業年金といえば厚生年金基金と適格退職年金でした。

しかし適格退職年金制度は平成24年3月31日をもって廃止となりました。

さらに平成26年4月1日以降、厚生年金基金の新規設立も認められていません。

既存の基金については代行返上して確定給付企業年金に移行するか解散するかが促されています。

その結果、中小企業が企業年金を導入する場合、現在の選択肢は大きく分けて4つです。

確定給付企業年金(DB)

確定給付企業年金法に基づく企業年金制度で、規約型企業年金と基金型企業年金の2種類があります。

規約型は、会社が従業員の同意を得て、制度内容を定めた年金規約に基づき掛金を外部に拠出することで年金資産を管理・運用します。

基金型は、会社が従業員の同意を得て、別法人として設立された企業年金基金が、制度内容を定めた年金規約に基づき年金資産を管理・運用します。

特徴としては給付額が保障されており会社が給付の算定方法を約束します。

会計上、退職給付債務に基づいて負債および費用が計上され、掛金は費用として処理されません。

給付額が約束された企業年金制度を有していることで採用面での競争力強化、従業員のロイヤリティ向上につながることや効率的な資産運用によっては掛金の軽減が可能であること、掛金拠出に税制優遇措置が講じられているため、退職一時金より効率的に資金準備ができることがメリットとなっています。

デメリットとしては退職給付会計の対象となるため積立不足を会社の債務として認識しなくてはならないことや会社が資産運用の責任を負うこと、積立不足が生じる可能性があるため、追加拠出の可能性があることが挙げられます。

従業員としては給付の算定方法が確定しており、年金の受取り見込額がわかりやすいため、老後の生活設計が立てやすいこと、資産運用は会社や基金が行うため、資産管理に気を使わずにすむことがメリットですね。

従業員のデメリットしては加入者ごとの年金資産が不明確であること、勤続年数にかかわらず給付減額の可能性があること、積立不足が発生した場合、会社の業績が悪化して給料などに悪影響を及ぼす可能性があることが挙げられます。

確定拠出年金(DC)

確定拠出年金法に基づく年金制度で、企業型と個人型の2種類がありますが中小企業が自ら導入するのは企業型ということになります。

特徴としては拠出額があらかじめ決定されていますが、年金資産の運用は加入者が行う(運用方法を選択する)ため将来受け取る年金や一時金等の額が、個人ごとの運用実績に応じて変動します。

会計上、退職給付債務は発生せず、掛金は費用として処理されることになります。

積立不足が生じないため、掛金の追加拠出が不要であることと、退職給付会計の対象外となるため、退職給付債務が生じないこと、他社の企業型確定拠出年金から資産の受け入れが可能となるため、上場企業など大企業からの転職者へのアピールになる点がメリットです。

デメリットとしては継続的な投資教育の実施義務があること、勤続3年以上の自己都合退職者や懲戒解雇者について減額支給できなくなることなどが挙げられます。

従業員としては自分の年金資産の残高が今いくらあるかすぐに確認できること、運用方法や資産構成割合を自分で選択でき、運用が好調なほど高いリターンが期待できることがメリットです。

デメリットとしては資産運用を自ら行わなければならないこと、運用成績により給付が変動するため運用が不調であれば受給額が減ること、原則として60歳まで受給できないため、中途退職時の生活費や独立資金としては用いることができないことが挙げられます。

中小企業が単独で年金制度を持つことは難しい

上記の企業年金の運営は、費用コストがかかるほか事務的な負担も多く、現実的には中小企業が単独で退職金年金制度を持つことが難しいのが現状です。

そこで、国や各種団体が実施する中小企業向けの退職金年金制度を利用する選択肢があります。

これらの制度は、企業年金制度ではないですが、中小企業が退職金年金制度を検討する際、退職金年金制度の社外積立先として多く利用されています。

今回は代表的なものとして中小企業退職金共済制度と特定退職金共済制度についてご紹介します。

中小企業退職金共済制度(中退共)

昭和34年に国の中小企業対策の一環として制定された「中小企業退職金共済法」に基づき設けられた制度です。

この制度は、独立行政法人勤労者退職金共済機構が運営しています。

会社としての加入の条件は以下の通りです。

原則、社員全員加入で掛金は2,000~30,000円の19段階、2,000~4,000円は短時間労働者のみの扱いとなっています。

退職金は基本退職金+付加退職金からなり、掛金月額と納付月数で計算されます。

運用利回りによって付加退職金の上積みがあるという仕組みです。

今回は年金制度としての紹介ですが退職金としての一時金支給が原則であり一定条件の場合に分割支給も可能ということになっています。

会社が負担する掛金は全額損金になり従業員が受け取る給付金は一時金払の場合は退職所得、分割払いの場合は雑所得(公的年金等控除の対象)になり税制上の優遇が受けられます。

新しく中退共制度に加入する会社や、掛金月額を増額する会社に、掛金の一部を国が助成していること、従業員ごとの納付状況や退職金の試算額のお知らせが定期的に届くので管理の手間はほとんどかからないこと、加入企業の特典として、勤労者退職金共済機構・中退共本部と提携しているホテル、レジャー施設等を割引料金で利用でることもメリットですね。

特定退職金共済制度(特退共)

中退共と類似した制度に、特定退職金共済制度(特退共)があります。

所得税法施行令第73条に定める「特定退職金共済制度」として 国の承認を得た商工会議所・商工連合会などが実施する退職金年金制度です。

掛金は1口1,000円で30口(30,000円)までとなっており、退職金は口数および加入期間で計算されます。

中退共と同じく退職金としての一時金支給が原則ですが一定条件の場合、分割支給も可能になっております。

会社が負担する掛金は全額損金になり給付金は一時金払の場合は退職所得、分割払いの場合は雑所得(公的年金等控除の対象)になり税制上の優遇が受けられます。

中退共と異なりこちらは国の援助がありませんが、加入資格について中退共のように一定規模以下に制限されていることがなく最低掛金が1,000円からですので中退共より検討の幅は広がります。

中退共との重複加入も認められますので自社の年金制度をさらに厚くする方法としても検討できますね。

まとめ

利益が大きく出ていて事務負担面の余裕もある中小企業は確定拠出年金を検討してもよいですね。

確定拠出年金を導入していることは採用面で大きなアピールになります。

資金的にも事務負担的にもあまり余裕のない一般的な中小企業はまずは中退共の導入を検討しましょう!

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