中小企業が会社の年金制度を検討する場合について、こちらの記事で「事務的な負担が多く、現実的には中小企業が単独で退職金年金制度を持つことが難しい」とご紹介し、こちらの記事で「自社で年金制度が作れない場合、まずはiDeCo+(イデコプラス)を検討してみては」とご紹介しました。
今回は従来の年金制度より事務負担が少なく自社で年金制度が作れる簡易型DCにつてのご紹介です。
簡易型DCとは
中小企業を対象に企業型DCの設立条件や必要な手続きを簡素化して少ない事務負担で導入することができる企業年金制度です。
設立条件をある程度パッケージ化することで、必要書類を削減して設立手続きを簡素化し、制度運営についても負担の少ないものにするなど、中小企業向けのシンプルな制度設計となっています。
簡易型DCの規約承認申請時(制度導入時)の添付書類の省略や、規約変更に届出で対応可能なケースがある等、制度導入時および変更時に必要となる書類や手続き等が簡素化されています。
事業主の条件
厚生年金適用事業所であって、従業員数(第一号厚生年金被保険者数)100 人以下である必要があります。
加入者の範囲
勤続年数、役職などで一定の資格を定めることはできません。(全ての従業員を加入させなければいけません)
会社の掛金の算定方法
定額の掛金のみとなります。
従業員の掛金
選択肢は1つでも可です。
商品提供数
2本から実施可能(最大35本)
上記のように、一見柔軟性がなく使いづらい制度になっているようにも見えますが、制度設計がシンプルであり、事業主や従業員にも分かりやすい制度になっているということがいえます。
簡易型DCで簡素化される事務
導入時に必要な書類の簡素化
導入時に必要な書類は、「規約案」、「厚年適用事業所確認書類」、「従業員が100 人以下であることを証する書類」、「労働組合等の同意」、「労使協議の経緯」、「労働組合の現況に関する事業主証明書」に限定するよう大幅に簡素化されています。
規約変更時の承認事項を届出事項に簡素化
規約変更時に従来は承認事項であった「事業主の運管業務」、「運管委託業務」、「運管委託契約事項」、「資産管理契約事項」、「事業主掛金の納付事項」、「加入者掛金の納付事項」が届出事項になっています。
業務報告書の簡素化
報告を必須とする事項を「他の企業年金の実施状況」、「厚生年金保険適用者数」、「指定運用方法の選定状況(労使協議の経緯を含む。)」等に限定しています。
申込
銀行、信用金庫、証券会社、保険会社などが運営管理機関になっていますのでまずはお取引のある金融機関にご相談ください。
まとめ
個人的意見としては簡易型DCは少々中途半端かなという気がします。
簡易的になっているとはいえそれなりの事務負担はあります。
一方で制度設計が柔軟でないため従業員が自分に合った運用が選択しづらくなります。
事務負担を減らして簡便にやりたいなら以前ご紹介した「中退共」を利用するか「iDeCo+」を利用するかがよいと思います。
しかし「DCを導入している」というのは採用活動の際のアピールポイントとして大きいと思います。
結果的に加入をお勧めするのは福利厚生制度を充実させて採用活動を有利に進めたい会社ですね。