法人成りをした場合、個人事業は廃業ということになり税務署等へ廃業届出を提出する必要があります。
今回は個人事業の廃業時に必要な手続きについてまとめてみました。
個人事業の廃業届出書
提出先
所轄税務署
提出期限
廃止の日から1か月以内
法人の設立日から1か月以内と考えてよいでしょう。
提出しなかった場合は?
特に問題になることはありません。
しかし翌年も事業所得がある方用の確定申告書が送られてきたり、申告が無いことについて税務署からお尋ねが来たりしますので提出しておいた方がよいでしょう。
青色申告の取りやめ届出書
提出先
所轄税務署
提出期限
廃止の日の翌年3月15日まで
提出しなかった場合は?
こちらも特に問題になることはありません。
注意点としては法人成後に法人から個人(社長)に自宅兼事務所の家賃を支払う場合などは個人(社長)の不動産所得の確定申告で青色申告を継続した方が有利になりますのでうっかり「青色申告の取りやめ届出書」を提出しないようにしましょう。
ちなみにそのような場合、上記の「個人事業の廃業届出書」も下記の「事業廃止届出書」も提出不要です。
事業廃止届出書(消費税)
提出先
所轄税務署
提出期限
廃止の日後、速やかに
提出しなかった場合は?
消費税の課税事業者であった方が提出するものですので消費税の免税事業者であった方は提出する必要はありません。
消費税の課税事業者であった方が提出しなかった場合も特に問題になることはありません。
しかし翌年も消費税の申告書が送られてきたり税務署からお尋ねがきたりしますので提出しておいた方がよいでしょう。
その他、事業廃止により、「消費税課税事業者選択不適用届出書」、「消費税課税期間特例選択不適用届出書」、「消費税簡易課税制度選択不適用届出書」、「任意の中間申告書を提出することの取りやめ届出書」のいずれかの届出書に事業を廃止した旨を記載して提出した場合には、他の不適用届出書等及び事業廃止届出書の提出があったものと取り扱われます。
また、事業廃止届出書を提出した場合には、これらの不適用届出書等の提出があったものと取り扱われます。
ややマニアックですがここは注意点で、事業廃止届出書を提出するだけで簡易課税制度選択届出書の効力も無くなりますので、その後事業を復活させた際に簡易課税制度で申告しようとする場合は所定の期日までに簡易課税制度選択届出書を出しなおすことが必要になります。
給与支払事務所等の廃止届出書
提出先
所轄税務署
提出期限
廃止の日から1か月以内
提出しなかった場合は?
実は、上記の「個人事業の廃業届出書」を提出していればこの「給与支払事務所等の廃止届出書」は提出不要です。
解説サイトによっては提出するように記載されていますが国税庁ホームページにも提出不要が明記されていますのでご安心ください。
都道府県税事務所への廃業届
提出先
管轄の都道府県税事務所
提出期限
都道府県により異なります。(東京都の場合は廃止の日から10日以内)
提出しなかった場合は?
都道府県により異なると思いますが、問題になることはないと思われます。
予定納税額の減額申請
提出先
所轄税務署
提出期限
廃業の年の翌年7月1日から7月15日までに
提出しなかった場合は?
廃業の年の確定申告内容を基に所得税の予定納税をする必要が生じてしまいます。
最終的にはその翌年(廃業の翌々年)の確定申告で還付の申告が出来ますが予定納税が多額である場合、資金繰りが悪化する事態になる可能性があります。
個人事業税の確定申告
提出先
管轄の都道府県税事務所
提出期限
廃止の日から1か月以内
提出しなかった場合は?
廃止の日の翌年に所得税の確定申告をすれば問題ありません。
東京都税事務所に廃業した場合の個人事業税の確定申告書を単独で提出される方がいるのか聞いてみたことがあるのですが「提出されたのを見たことはない」「提出されなくても翌年に所得税の確定申告をしていただければ問題ありません」とおっしゃっていました。
まとめ
事業廃止関係の届出は提出しなくとも大きな不利益を被ることはないと考えてよいと思います。
しかし、法律や条例で提出が求められていますので提出するようにしましょう。
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