平成30事務年度 法人税等の調査事績の概要が公表されました。
国税(税務署)の年度は7月~6月です。
平成30事務年度とは平成30年7月~令和元年6月までになります。
その期間における法人の税務調査の実績です。
法人税の実地調査の状況
平成30事務年度の1年間は、日本全国で9万9千件の税務調査が実施されました。
税務調査が来る法人の割合
こちらの記事でご紹介した平成30事務年度の法人税の申告件数が292万9千件でしたので税務調査が来た割合は9万9千件÷292万9千件=約3%ということになります。
申告した年度と税務調査の年度はズレますので正確な割合ではありませんが参考にはなりますね。
まあ、上場企業など毎年税務調査が来る法人もありますし、中小企業でも税務調査が来る法人は4・5年に一度のサイクルで来ますが、税務調査が来ない法人は10年以上来ないところも多いので何とも言えませんが一つの目安として約3%という割合を頭に入れておいてもいいかもしれません。
税務調査で何かしら指摘され追徴課税になる割合
税務調査が来たらどれくらいの割合で追徴課税になるでしょうか。
平成30事務年度に9万9千件の税務調査が実施された内、非違があった件数(指摘された件数)は7万4千件でしたので指摘された割合は7万4千件÷9万9千件=約75%ということになります。
税務調査が来たら7割以上の法人は何かしらを指摘されている状況です。
所得隠しとされる割合
仮装隠蔽など意図的に所得を隠したとして重加算税が課された件数(不正計算件数)は2万1千件でした。
税務調査が実施された件数(9万9千件)に占める割合は、2万1千件÷9万9千件=約21%です。
税務調査が来たら2割以上の会社は所得隠しを指摘され重加算税が課税されています。
その他の税務調査の動向
海外取引に係る申告漏れ所得金額の推移
税理士として税務調査に立ち会っている感覚としても実感していましたが、ここ数年海外関係の調査、指摘がすごく増加しています。
中小企業でも海外取引が当たり前の時代になってきましたので注意しましょう。
海外の法人に支払う手数料や仕入れ価格、外国人や外国法人に支払う報酬・使用料などに係る源泉徴収がよく指摘されていますよ。
無申告法人に対する取組
無申告法人に対する調査も厳しくなっています。
先日のニュースで話題になったチュートリアル徳井さんの件もこれですね。
上の図は追徴税額の推移ですが、実地調査件数も平成30事務年度は2,683件で前年比103.5%となっています。
こちらの記事でご紹介した平成30事務年度の法人税の申告件数から逆算した無申告法人の件数は約20万件になりますので無申告法人のうち約1%の法人に実地調査が実施されていることになります。
ただ約20万件の無申告法人のほとんどは実際には活動していない休眠会社と思われますので、事業を行っていて無申告の法人にはいつか税務調査が来ると考えた方がいいですね。
国税は登記の情報から法人を把握し、銀行等の金融機関の預金情報と突合して情報収集・分析を行っていますので。
消費税還付申告法人に対する追徴税額
こちらは近年の税制改正により還付スキームが次々に封じられているため減少傾向ですね。
しかしまだまだ金取引還付スキームなどが横行していますので金額・件数ともに数年前に比べて高い水準ですね。
消費税還付申告は要注意!覚えておきましょう!
まとめ
正確な割合は計算していない個人的な感覚ですが追徴課税になる割合も重加算税が課される割合も思ったより高いなという印象です。
恐らく税理士の立会いの無い税務調査で多く指摘され、所得隠しとされているように思われます。
皆様、税務調査の連絡が来た際は税理士に立会ってもらうことをお勧めします!
立会報酬を払っても結果的には安くつきますよ!!
上記の図の引用は以下のページです。その他の細かい情報も含め詳細を確認されたい方は以下のページよりご確認ください。
平成30事務年度 法人税等の調査事績の概要(令和元年11月8日)