消費税

Zoomの利用料は消費税課税仕入れでOK

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新型コロナウイルス感染拡大防止のため緊急事態宣言が出され、ビジネスの世界でも通勤、客先訪問自粛、対面の会議自粛が続いていますね。

そんな中、web会議を実施されることも多いと思います。

私も4月以降、会議は全てweb会議になっています。

そこで今回はweb会議ツールの最大手Zoomの利用料について、消費税の扱いはどうなるかについてです。

Zoomの利用料は消費税課税仕入れでOK

現在の結論はこれですので、詳細が気にならない方は以下の内容はチェック不要です 笑

Zoomの消費税については令和2年3月25日にZoomが登録国外事業者になったことにより扱いが変わっています。

それまで消費税が課税されずZoomの料金を支払った事業者は課税仕入れにならなかったものが消費税が課税され課税仕入れとすることができます。

なので令和2年3月25日より前のものについては消費税課税仕入れの対象外の可能性がありますので以下の内容を確認し、お手元の請求書をチェックしてみてくださいね。

一応、ZoomのHPにも解説が記載されているのですがイマイチ分かりづらいですよね。

Zoomの請求書

Zoomの請求書を見てみましょう。

消費税10%が記載されていますので感覚的にも消費税課税取引で課税仕入れが取れると思われると思いますが英語の表示なのでやや不安ですよね。

結論は課税仕入れで問題ないのですがどのような考え方で課税仕入れになるのかを改めて確認してみます。

電気通信利用役務の提供に該当

まず、Zoomは「電気通信利用役務の提供」に該当します。

電子書籍・音楽・広告の配信などの電気通信回線(インターネット等)を介して行われる役務の提供が「電気通信利用役務の提供」とされています。

Zoomはオンライン上で利用できるサービスなので「電気通信利用役務の提供」ということになります。

取引がとこで行われたかの判定に改正がありました

消費税は日本国内での消費に対して課される税金ですので国外で行われた取引には課税されません。

その取引が国内取引になるのか国外取引になるのかは様々な判断基準がありますが「電気通信利用役務の提供」については平成27年の消費税法改正前はサービスを提供する事業者(今回のケースではZoom)の本店が国内にあるのか国外にあるのかで判定していました。

ですので平成27年の消費税法改正前はZoomの本社が国外にあるためZoomは国外取引になり消費税は課税されていませんでした。

それが改正後は「電気通信利用役務の提供」はサービスの提供を受ける事業者の本社が国内にあるのか国外にあるのかで判定することになりましたので国内取引になり消費税が課税されることになりました。

リバースチャージ方式が基本

国外の事業者(Zoomなど)の「電気通信利用役務の提供」に日本の消費税が課税されることになりますが国外の事業者は日本に本社がありませんのでどのように消費税を申告納付すればよいのかという問題が生じます。

日本の国税側も日本に本社の無い国外事業者の消費税について申告漏れを指摘するのも大変ですよね。

そこで採用されたのがリバースチャージ方式です。

詳細な説明は省略しますがリバースチャージ方式ではサービスの提供を行った事業者、つまり課税売上が計上されて代金を受け取った事業者ではなく、サービスの提供を受けた事業者、代金を支払い課税仕入れを計上する事業者が消費税を申告納付することになります。

国内事業者が課税売上の納付と課税仕入の控除を同時に申告するイメージですね。

消費者向けの取引は国外事業者が申告納税する

国外の事業者が国内に向けて「電気通信利用役務の提供」を行った場合、リバースチャージ方式で国内の「電気通信利用役務の提供」を受けた事業者が申告納税することが基本となるのですが、これは事業者向け取引、つまりBtoB取引に限っての取り扱いです。

消費者向け取引、つまりBtoC取引については「電気通信利用役務の提供」を受けた人が日本の消費者なので申告納税をしない(できない)ことになります。

結果的にBtoBであってもその取引が消費者も利用できるような内容の取引であれば消費者向け取引とされて「電気通信利用役務の提供」を受けた事業者はその取引にかかる消費税の申告納税をしなくてもいいことになりますが反面、支払った経費は消費税の仕入税額控除が適用できないことになります。

消費者向けの取引で仕入税額控除が適用できる場合

消費者向けの取引で仕入税額控除が制限される理由は消費税を預かった国外事業者が本当に日本に消費税を納税するかどうか不確かだからです。

ただ、例外的に消費者向け取引でも仕入税額控除が出来る場合があります。

それが、国外事業者が日本の国税に登録して、日本の消費者などから預かった消費税を日本に申告納税する「登録国外事業者」になっている場合です。

現在「登録国外事業者」になっている外国法人のリストはこちらです。

上の方に画像を載せたZoomの請求書の左上に登録国外事業者番号(Business Registration Numbe)が記載されていますね。

国税庁発行の登録国外事業者リストと照らし合わせても本当に登録されていることが確認できます。

もう一つ確認すべきは請求書に「課税資産の譲渡等を行った者が消費税を納める義務がある旨」の記載があるかです。

もう少し簡単に言うと「サービス提供業者が消費税の申告を行う」の旨。

さらにざっくり言うと「Zoomが日本の消費税を納めます」ということです。

請求書を確認してみましょう。

おお!書いてありますね。

これらの確認作業を経て、初めて仕入税額控除が適用できるというわけです。

事業者向けと消費者向けの判別 Google Adwords・AWSは?

事業者向けと消費者向けの判別は、範囲の狭い事業者向けを理解し、それ以外が消費者向けと考えればOKです。

事業者向け取引について国税が示している考え方は以下の通りです。

広告の配信やゲーム・ソフトウェアの販売場所を提供するサービスなどは事業者向け取引になる

広告を配信するというということは事業をしているから、何かしらを販売する行為は事業になる、という考えに基づくものです。

Google Adwordsはこの考え方にあたり事業者向け取引になります。

お手元のGoogle Adwordsの請求書等をご覧いただくと登録国外事業者番号などが記載されていないと思います。

事業者間で個別に契約しているもの

事業者と事業者で個別に契約をしていればそれはBtoBと考えて問題ありません。

上記2つ以外は基本的には消費者向け取引

上記2つ以外は基本的に消費者向け取引になると考えて問題ありません。

G SuiteもAWSもこの考え方で消費者向け取引になっています。

G SuiteもAWSも利用しているのはほとんどが事業者だと思いますが広告などでなく個別の契約もないため消費者向け取引になります。

インターネットのWEBサイトから申し込みを受け付けるようなサービスは個別の契約とはされないのです。

例え「事業者向け」であることをWEBサイトに記載していても事業者以外(消費者)から申し込みがあった際にその申し込みを事実上制限できないものは消費者向けにするという考え方です。

Google Adwordsは国内事業者になった

Google Adwordsは以前は「Google Asia Pacific Pte. Ltd.」という国外事業者が提供していたため国外事業者が行う事業者向け電気通信利用役務の提供としてリバースチャージ方式が採用されていました。

しかし2019年4月1日から日本の法人である「Google合同会社」がサービスを提供することになったため国内事業者が提供する電気通信利用役務の提供として単純な課税仕入れになりました。

今までの処理とは異なる処理になりますのでご注意ください。

まとめ

かなりややこしいですね。

考え方は難しいですがざっくりと結論をいうと、外国の事業者とインターネット上の取引をした場合、請求書に登録国外事業者番号と「サービス提供業者が消費税の申告を行う」旨が記載されていれば仕入税額控除を適用してOK。

それらの記載が無ければ仕入税額控除をしてはダメ、ということです。

インボイス制度開始後の取り扱い

なお、2023年10月1日からのインボイス制度開始後の取り扱いについては以下の記事にまとめましたので併せてご確認ください!

インボイス制度開始後のリバースチャージ方式と登録国外事業者について

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