起業・創業支援

法人成(法人化)による節税メリット

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法人成りをすることで個人事業者であるときに比べて節税の幅が広がります。

今回は法人成りにより使えるようになる節税策をまとめてみました。

社長に給与を支払うことが出来る

個人事業の場合は事業の利益が課税所得になり所得税が課されますが、法人成すると社長に給与を支給できますので社長が給与としてもらった部分については別途所得税の給与所得控除という経費が使えるため節税になります。

イメージを図で示すと以下の通りです。

※医療費控除などの所得控除、住宅ローン控除などの税額控除は抜きにして考えています。

個人事業者の場合は75に課税され、法人成した場合は法人・個人合計で50に課税されます。

個人も法人も利益(所得)が大きくなるにつれて税率が上がっていきますので法人成した場合は法人と個人で利益(所得)を分割できるので税率が低く抑えられます。

個人事業者の場合は青色申告特別控除65万円と事業税の事業主控除290万円があり、法人にはそのような控除がないことと、法人の場合は最低税率が個人に比べて高いことや別途住民税均等割が7万円発生することなどを考慮するとある程度の利益(500万円ぐらい)がないと法人成りの節税メリットが出ないので注意が必要です。

家族に給与を(簡単に)支払うことが出来る

個人事業の場合も家族に給与を支払うことはできますが、青色申告の場合は「青色事業専従者給与」、白色申告の場合は「事業専従者控除」という制度での経費計上になり、届出が必要であったり金額の制限があったりして使い勝手が悪いです。

法人の場合は特別な手続きがなく家族にも給与を支払うことができます。

家族を役員とする場合などは定期同額給与や事前確定届出給与といった制度にも注意が必要ですが個人事業の場合に比べれば使い勝手は良くなります。

さらに、家族に給与を分散させることで各人の所得が下がり税率が低く抑えられた結果、合計の税額が下がるということも期待できますね。

また、扶養の範囲内での給与支払でも個人事業の場合は事業専従者になると、38万円の配偶者控除や、扶養控除を受けられなくなりますが、法人から給与の支払いを受ける場合は扶養の範囲内の給与支払であれば扶養控除が適用できますのでこの点も節税メリットがあります。

退職金が経費になる

法人成すると社長に給与を支払うことが出来るのと同じですね。

社長に退職金も払えます。

退職金と聞くと法人成りを検討する際にはだいぶ先の話のように思えますが法人成りしてすぐに退職金用に積立保険に加入して保険料を経費計上し、実際に退職するときに保険を解約して受取保険金(利益)=支払退職金(経費)にすれば将来の退職金を先に経費にすることができますね。

生命保険料が経費になる

上記の「退職金が経費になる」にも記載の通り、生命保険料の経費計上の幅が広がります。

個人事業の場合は生命保険料は経費にならず別途所得控除で生命保険料控除が適用できますが最大でも12万円の控除にしかなりません。

法人の場合、支払った保険料の全額が経費にならない(一部は資産計上)こともありますが経費計上の金額に上限はありません。

しかし、今こちらの手法は国税が改正の方向で動いておりまして年間の経費計上金額に上限が設けられるかもしれませんので今後の動向に注意が必要です。

社宅の賃借料が経費になる

社長の自宅を会社契約にすることで社宅扱いになり家賃を経費計上することが出来ます。

一定の計算式で計算した家賃を会社が社長から徴収(雑収入などとして利益計上)する必要はありますが自宅の家賃を一部経費計上できるのはでかいですね。

徴収すべき賃料について詳細な解説は省略しますが国税庁ホームページからの引用を以下に記載しておきます。

小規模な住宅とは、耐用年数が30年以下の建物の場合には床面積が132平方メートル以下である住宅、耐用年数が30年を超える建物の場合には床面積が99平方メートル以下(マンションなどは共用部分の床面積をあん分し、専用部分の床面積に加えたところで判定します。)である住宅をいいます。

床面積が240平方メートルを超えるものや240平方メートル以下のものであっても、プール等の設備や社長個人のし好を著しく反映した設備等を有するものについては、いわゆる豪華社宅として上記の計算が適用できませんので注意が必要ですね。

欠損金の繰越控除期間が長い

利益が出ず赤字(欠損)であった場合の欠損金の繰り越しが個人事業の場合は3年ですが法人の場合はこれから発生する欠損金については10年繰り越すことが出来ます。

以前は法人も5年と短い期間でしたが改正を繰り返して10年になりました。

欠損金を10年も繰り越して使用することはあまり想定したくありませんが制度としては良い制度ですね。

社長に出張の日当を支払うことが出来る

これは「社長に給与を支払うことが出来る」と同じようなものですが法人成し、会社の諸規程を作る中で出張旅費規程を作成し世間一般の会社にあるような範囲の日当の支給を規程しておけば出張の日当を支払い、経費にすることが出来ます。

個人事業の場合ですと事業主である個人に支払うことはできませんが法人であれば法人から社長に支払い経費にできるのです。

社長も法人とは別人格、ある意味では従業員と同じですからね。

ちなみに給与は給与所得になり所得税が課税されますが出張の日当は所得税が課税されません。

一応、上の方にも記載しましたが世間一般の会社にあるような範囲の日当の範囲であればという前提がありますのでいくらでも出していいということではありませんのでその点は注意が必要です。

まとめ

法人成することにより節税の幅が増えることは大きなメリットです。

しかし、法人成を検討する際には節税以外の面も総合的に検討する必要がありますので慎重に検討しましょう。

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